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セカンドハウスローンの利用方法と注意点

資産形成を考えるなら、セカンドハウスは購入したほうが得(1/2ページ)

牧野寿和牧野寿和

2016/12/08

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セカンドハウスで複数の生活拠点を持つ

先日、「セカンドハウスの購入を考えている」というお客さまの相談を受けました。近年、注目を集めている「デュアルライフ」を実践したいと考えて、家を賃貸にすべきか購入すべきか、また購入するのであればどのような資金計画を立てればよいのか相談に来られたのです。
ご存知の方も多いとは思いますが、改めてご説明すると、デュアルライフとは、「二地域居住」とも呼ばれるライフスタイルのことで、別荘を持つこととは違い、生活の拠点を複数持つ暮らしを意味します。
平日は仕事のある都市部で暮らし、週末になると田舎の家に行って暮らすというライフスタイルを実践している人が、ここ数年で少しずつ増えているようで、過疎化が進む地方への人の移動を促進するために、国も二地域居住の推進に取り組んでいます。

このお客さまのように、「田舎にセカンドハウスを持ちたい」という以外にも、

・通勤が大変なので、勤め先の近くに平日寝泊りをする家がほしい
・自宅を仕事場にしているが、休日は仕事から離れたいので別の家がほしい
・地方に転勤になったので単身赴任をする間に住む家がほしい
・自宅から遠い学校に通う子どもが、通学のために平日暮らす家がほしい

など、いろいろな理由から、セカンドハウスの購入を考えておられる方がいらっしゃいます。ここでは、セカンドハウスを購入するメリットや、住宅ローンを使えるのかどうかといった購入面で知っておきたい基礎知識をご説明します。

賃貸にするべきか、購入するべきか

冒頭でお伝えした通り、「資産形成」という視点から考えると、私は購入することをおすすめしています。
セカンドハウスとして賃貸住宅を借りた場合、資産形成にはつながらず、支払った家賃は単なる消費支出で終わってしまいます。
一方で、購入した場合はどうでしょうか。たとえば、退職後は都市部に所有する自宅を賃貸に出して家賃収入を得ながら、自分たちは田舎に移住することもできます。
また、少し極端な例かもしれませんが、子どもがふたりいて、資産は自宅一軒だけだとしたら、子どもにその一軒をどのように分けるか、相続のときにもめる原因になりかねません。ですが、セカンドハウスがあれば遺産分割の方法を広げることが可能にもなります。

もちろん、「資産価値のある物件を選ぶ」ということが前提にはなりますが、セカンドハウスを所有することは、資産を形成する有効な手段のひとつになり得るのです。

「セカンドハウスローン」の金利は高い

ただし、セカンドハウスを購入する際の、ローンや税制の取り扱いは、一般的な「自宅」を購入する場合と異なる点があります。 まず、セカンドハウスを購入するために、金融機関から融資を受ける場合、「住宅ローン」ではなく、「セカンドハウスローン」(商品名は金融機関によって異なります)でのローン契約を交わすことになります。
住宅ローンとセカンドハウスローンとの最大の違いは金利です。住宅ローンが他のローンに比べて金利が低いのは、「居住用」という理由から優遇を受けているためです。そのため、優遇対象から外れてしまうセカンドハウス用のローンは、通常の住宅ローンより金利が高いのです。

どれくらいの金利差があるかといえば、現在のところ、変動金利型であれば0.2%以上、固定金利型であれば0.5%以上、セカンドハウスローンの金利は高く設定されています(2016年9月現在)。
たとえば、借入額1000万円を、35年間・固定金利1.0%の住宅ローンで借り入れた場合と、同じく固定金利1.5%のセカンドハウスローンで借り入れた場合、0.5%の金利差は、利息支払総額で約100万円の違いになります。たとえ0.5%の差でも、長期間借りると支払利息の負担額が大きくなることが実感できるのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士

1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。

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