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その物件、将来いくらで売れますか?

頭金なしで買うマンション、一戸建ては「資産価値」に注目して選びなさい

牧野寿和牧野寿和

2016/05/17

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イザというときにどんな手が打てるか

住宅は何千万円もする買い物ですから、多くの人は「終の棲家」にするつもりで購入を決断することでしょう。しかし、夢のマイホームを手にしたとしても、人生には思いもよらぬことも起こります。

たとえば、「会社が倒産した」「地方に転勤を命じられた」「病気になって働けなくなった」「介護のために地元に帰らなくてはいけなくなった」など、さまざまなケースが考えられます。そんなとき、住宅ローンの支払いはどうしたらいいのでしょうか?

物件を選ぶ際には、こうしたイザというときに手を打ちやすい物件かどうかというのも大切な視点となります。具体的にどんな手が打てるかといえば、大きくは「売却する」「賃貸に出す」のふたつです。

もし毎月の返済が厳しくなって、マイホームを手放さなければならなくなったとき、高く売れる物件でなければ、住まいを失った上に、住宅ローンの残債だけが残るという最悪の事態を招く恐れも出てきます。
また賃貸に出しても、家賃で毎月の返済額が賄えないのであれば、安い家賃のところに住み換える意味が薄くなってしまうでしょう(住宅ローン返済中の家を賃貸に出すには、一定の制限があります)。

買い手がつくか、借り手がつくか?

ですから、将来、「買い手がつく物件か」「借り手がつく物件か」どうかを見きわめて、購入していかどうかを判断すべきなのです。
それには、勤務先から近くて便利とか、最新の設備そろっていておしゃれだとか、そうした個人的な視点だけでなく、将来にわたって多くの人が魅力を感じる物件かどうかを見きわめることが重要になってくるのです。

特に注意したいのは、不動産会社のいいなりにならず、自分の目で物件の善し悪しを確かめることです。どんなに気に入っていても、「買い手がつかない」「借り手がつかない」物件であれば、いったん考え直すことも大切です。それが、頭金なしの物件選びの最重要ポイントだと心得ましょう。

ただ一方で、金融機関は担保価値の低い物件には100%のローンを認めません。見方を変えれば、頭金なしでも住宅ローンを組める住宅であれば、イザというときに強い物件だということもできるのです。

「資産価値=物件価値」ではない

ここでマイホームの「資産価値」について考えてみましょう。資産価値が高いということと、物件価格が高いことはイコールではありません。

新築一戸建ての場合、ハウスメーカーやデベロッパーの利益と広告宣伝費は、物件価格の2〜3割程度といわれています。たとえば、2000万円の物件を購入した場合、最低の2割だとしても、400万円が売り主側の利益や経費です。そして、当然、この400万円は物件の価値には反映されません。

つまり、2000万円の物件であっても、購入した直後にその価値は1600万円になってしまうのです。マイホームを売り出す場合、購入したときの2000万円が資産価値だと思っていると、 痛い目に遭うことになってしまいます。

その物件をいくらの価格で買おうと、実際に売れたり、貸し出せたりする物件でなければ資産価値はないのです。そのためには、物件に魅力のあることが前提になります。そして、その魅力が大きいほど、高く売れたり、貸し出せたりするのです。

頭金なしで銀行が住宅ローンを組んでくれる物件であれば、資産価値はあると考えられますが、実際に融資を申し込む前に、自分自身でどんな物件であれば資産価値が高いのかを知っておくことが大切です。

物件を選ぶ段階で一戸建てを見たり、マンションを見たりするでしょう。新築か中古で迷うこともあるかもしれません。実際に自分の目で確かめるにあたって、資産価値について知っておかないと、いくつかの物件を比較検討する手立てがありません。

基本的に不動産会社は早く売ってしまいたいので、尋ねられない限り、物件のいい面しか口にしません。生涯で最も高い買い物をするのですから、「プロの言うことだから間違いないだろう」などと安易に信じ込まないことです。それが、頭金なしの物件であれば、なおさら注意しなければいけないのはいうまでもありません。

(参考記事)
「頭金なしで買うなら資産価値の目減りが少ない「中古住宅」が狙い目です!」

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この記事を書いた人

CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士

1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。

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