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自分だけの居心地のいい空間にカスタマイズ

自宅を新築した夫婦がDIYでタイル貼りや外壁板塗装に挑戦! 苦労も吹き飛ぶその仕上がりは?

2017/01/26 嶋崎都志子

今回ご紹介するのは、埼玉県の郊外にある一戸建て住宅に住む50代のTさんご夫婦が手がけられたDIYによる家づくり。自然素材を取り入れた家づくりをするため珪藻土を使った塗り壁を選んだTさんは、「いっそ自分たちで塗ってみては?」という設計士の一言から、DIYで自分たちの家づくりにかかわることになりました。プロの職人さんたちに混じってキッチンのタイル張りや外壁板の塗装などに挑戦したTさんご夫婦にDIYの楽しさや苦労した点、DIYならではの魅力などについてお話を伺いました。

DIYにまったく縁のなかった夫婦が、職人に混じって家づくりに挑戦!


■プロフィール

Tさんご夫婦/年齢:50代/お住まい:埼玉県

■DIYで施工した内容

キッチンタイル貼り、壁面一部レンガ貼り、壁左官作業(珪藻土)、外壁板塗装(オイルステイン)、部屋の棚づくり、テーブルのタイル貼り など

■予算

建築費:約2900万円(土地代含まず、水道引き込み工事代、地盤改良工事代込み)
DIY材料費:約100万円


 

今回、ご紹介するのは埼玉県の郊外にある一戸建て住宅に住む50代のTさんご夫婦が手がけられたDIYによる家づくりです。

実家の近くの土地を譲り受けたのをきっかけに新築での家づくりがスタート。と、同時に内装の一部の仕上げを自分たちで作業することが決定しました。

 

DIYにまったく縁のなかったTさんご夫婦がなぜDIYに挑戦するようになったのか?

実際の仕上がりはどうなったのか?

DIYに挑戦された経緯や苦労された点のほか、DIYで家づくりをする楽しさや魅力についてもお話を伺いました。

 

もともと何らかの形で家づくりに携わりたかった!

自宅の新築工事が決まり、設計士と家づくりの打ち合わせを重ねていくうちに、Tさんご夫婦の間では、自然素材を取り入れた家づくりをしたいという希望が明確になってきました。

そこで、設計士にその希望を伝え、いろいろと相談した結果、家の内壁は調湿効果の高い珪藻土を使った左官壁(塗り壁)にすることを決めました。

 

いろいろ想像を巡らしながら、「塗り壁の仕上がりは、きっちりとした平滑なものではなく凹凸のあるラフなものにしたい」などと話していくうちに、設計士から「いっそ自分たちで塗ってみてはどうか」と提案されたそうです。

もともと、ものづくりには興味があり、家づくりに何らかの形で携わりたいと思っていたTさんたちは、設計士のこの言葉をきっかけにDIYに挑戦することを決めました。

こうして、「できるところは自分で作業するDIY+プロによる施工」での新築計画がスタートしたのです。

 

Tさんたちが担当したのは、

・外壁板のオイルステイン塗装

・家のなかの左官(塗り壁)作業

さらに、自分たちで購入してきた輸入タイルのサイズがバラバラだったため、”プロの職人さんに嫌がられるかもしれない”という理由から、思い切って

・キッチンと薪ストーブ周りのタイル・レンガ貼り

も自分たちで行なうことを決めました。

 

資材調達のためにあちこち奔走

自分たちでタイル貼りやハンギング家具を取り付けたキッチン

「いつかはマイホームを…」と考えていたTさんたちは、以前から雑誌で見かけて気になっていたお店やメーカーの商品、その連絡先などをメモに書き留めていました。

Tさんたちが家づくりを始めた2000年頃は、まだインターネットショッピングも盛んではなかったので、書き溜めたメモを頼りに、茨城の大型ホームセンターではレンガや外壁用のオイルステインなどを仕入れ、横浜のインテリアショップには輸入タイル購入のために車を走らせていたそうです。

 

資材を自分たちで調達するのは初めてのことですから、材料をどれくらい用意すればいいのか、その目安がまったくわからず、作業の途中で足りなくなったり、逆に余ってしまったりといったことがよくあったとのこと。

ただ、幸いなことに、大量に使う珪藻土は工務店経由で購入してもらい、水と混ぜるための大きなバケツや電動ミキサー、電源を取るドラムコードなども工務店の厚意で借りることができたそうです。

 

自分たちでも、近所のホームセンターに行っては、電動ドリルドライバーやコテ、ヘラといった小さな工具をそろえていき、もともとドライバーが数本しか入っていなかった工具箱は、家が建て終わる頃には、かなり充実した品ぞろえになっていたといいます。

 

職人さんのアドバイスを受けながら挑戦した初めてのDIY

初めてのDIYに挑戦することになったTさんたちにとって、頼りの綱は内装会社でのアルバイト経験がある妹さんだけでした。

Tさんたちと妹さんの3人が、現場でたどたどしく、ああでもないこうでもないとやっていると、近くにいた職人たちが見るに見かねて(笑)、色々と施工方法を教えてくれたそうです。

 

とはいえ、通常、プロの職人が仕切っている現場に素人がウロウロするのは嫌がられるものです。

Tさんたちは、半年近い工期のうち2〜3カ月もの間、現場に出入りさせてもらったそうですが、職人さんたちに快く受け入れてもらうためには、しっかりとコミュニケーションを取りながら作業を進めさせてもらうことがとても大切だと感じたそうです(ときには職人さんたちに差し入れも!)。

また、「邪魔になりそうな工事内容の日は現場には行かない」「厚意で貸してもらった道具は必ず綺麗に洗って返す」など、お互いが気持ちよく作業できるよう心がけていたといいます。

 

ここで、Tさんたちにお聞きした実際に作業をしてみて気を使った点や苦労した点、またこれからDIYに挑戦する人たちへのアドバイスをまとめておきます。

興味のある方は、ぜひ参考になさってください。

 

左官作業(塗り壁作業)/珪藻土

自分たちで塗った珪藻土壁。塗る人によって表情が違うところが魅力

珪藻土は、粉状のものを水と混ぜて電動ミキサーで練り、石膏ボードに直接コテで塗ります。

乾燥すると固まってしまうので、自分たちが1時間以内に使う分だけの量を混ぜるようにしましょう。また、塗り始める前に、割れを防ぐために石膏ボードの継ぎ目にはネットテープを貼っておくことをおすすめします。

塗る厚みの目安は3㎜くらい。広い面積にうんざりしないよう、家族や友人たちに手伝ってもらいワイワイ楽しく作業するのがおすすめです!

 

■気に入っているところ

「塗る人によって厚塗りだったり薄塗りだったりとムラがあるけれど、それがまた、いい味を出してます」

■苦労したところ

「吹き抜けなど、高い部分は自分たちではできなかったので、足場を組んで職人さんにお願いしました」

 

キッチンタイル貼り/輸入タイル

タイルの在庫不足問題は、目地を広く取ることで解決しました

タイルは、希望の枚数を購入できず、予定よりも少ない枚数で作業をすることになったそうです。そこで、”目地”と呼ばれるタイルとタイルの間をセメントで固める部分の幅を広く取ることで解決しました。

作業手順は、まず耐水合板でつくられたキッチン本体に、目安の線を鉛筆で引き、コンクリート用接着剤で1枚ずつタイルを接着します。

接着剤が乾燥したら、タイルとタイルの間に目地剤をゴムヘラで入れていきます。20分くらい半乾燥させた後、余分な目地剤を濡れスポンジで拭き取れば作業完了です。

 

■気に入っているところ

「1㎝近くもある目地に、職人さんはびっくりしていましたが、ざっくりした雰囲気が好きなので気に入っています」

■苦労したところ

「輸入タイルは重量が重いため、壁面に接着剤で貼りつけてもずり落ちてきたました。マスキングテープで仮押さえすることをおすすめします」

 

薪ストーブ周り/壁面レンガ/床面テラコッタタイル

薪ストーブ下の床はテラコッタタイルを貼った

床面のタイルは、水平器を使いながら1枚ずつセメントで貼っていきます。通常のタイル貼りと同じように、タイルとタイルの間に専用の目地剤を入れて、余分な目地剤を濡れスポンジで拭き取って完成です。

耐火性を考えて、ストーブ背面はレンガ貼りにしたそうです。壁面用の厚さ1㎝くらいのレンガに、たっぷりとセメントをつけて1枚ずつ押し付けながら貼っていきます。最後に、はみ出てきたセメントをヘラでならしたら完成です(タイルのように後入れ目地剤は不要)。

テラコッタタイルもレンガも、そのまま使うと接着剤となるセメントの水分を吸ってしまうので、必ず半日くらい水につけておいてから使用するようにしてください。

 

■気に入っているところ

「イメージ通りのラフな仕上がりが気に入っています」

■苦労したところ

「平滑な面のテラコッタタイルではなかったので、床のレベル(角度や高さ)に合わせながら水平器を使うのが手間でした」

 

外壁板塗装/杉材にオイルステイン塗装

外壁板の塗装は家族総出で。時間の経過とともにまるで家具のように色合いが変化していく

外壁板に使った杉板は、工務店の作業場の一部を借りてオイルステンの塗装作業を行なったそうです。

防水性、耐候性、防虫性に優れた外壁用のオイルステインを、ローラーやコテバケで杉板に1枚ずつ塗装していきます。外壁は家を守る大切なものなので、たっぷりと二度塗りすることがポイントだそうです。ただ、5年に一度は足場を組んで塗り直しする必要があります。

 

■気に入っているところ

「木の家具のように経年変化を楽しめるところがいいですね」

■苦労したところ

「杉材の長さが2〜3mと長く、家族総出で持ち上げたりひっくり返したりの作業を300枚近く行ないました」

 

DIYとはカスタマイズ感と制作過程を楽しむもの

DIYで一部の工事をしたことで、建築費用は少しだけ節約できたものの、一通りの工具を購入したり毎週末に家族や友人を巻き込んで労力を費やしたり、といったことを考えると、決して安くすんだわけではないというのが本音だとTさんは言います。

Tさんの言葉からもわかるように、費用を安く抑えるというよりも、使い心地がよく、自分たちのイメージ通りの仕上がりを実現するカスタマイズ感や、それによって愛着がわくこと、家族や友人たちと制作過程が楽しめることなどが、DIYの最大の魅力なのです。

 

「プロの職人に施工してもらっていたら(良くも悪くも)こんなざっくりした仕上がりにはならなかったでしょうね」とTさんは笑います。

また、プロの職人の仕事を近くで見られたことも、職人さんたちの陰の苦労を知ることができていい経験となったそうです。

 

趣味やライフスタイルの変化に合わせたイメージチェンジも可能

白い漆喰を塗ってスタイリッシュなイメージに変わったレンガ壁

Tさんたちが家を建ててから16年目。時間の経過とともに、趣味やライフスタイルが変わっていくのに合わせて、自分たちでインテリアをイメージチェンジできるのもDIYの魅力です。

特に自分で関わった部分などは、構造や作業方法もわかっているので気軽にペイントしたり、棚を取り付けてみたりと、躊躇なく作業しているそうです。

 

新築時に貼った薪ストーブ背面のレンガ壁は、白い漆喰を塗ってスタイリッシュな雰囲気に変わっています。

また、書斎の壁には増えてきた書物を収納できる棚を取り付け木製の天板が劣化してきたガーデンテーブルはタイルを貼ってリメイクされていました。

これからは家具のペイントや洗面所のタイル貼りなどに挑戦したいとTさんは心を躍らせているようです。

 

本棚として使っている書斎の棚も自分たちで取り付けを行なった

DIYには失敗という概念がない!

月日が経ってボロボロになってしまったベランダ用テーブル

住まいは、年月が経つほどにメンテナンスが必要となるものです。

水道、電気、ガスなど設備に関する専門分野は、資格がないと作業ができない工事があるので、プロの業者に依頼しなければなりませんが、それ以外は自分たちで手を入れることができます。手をかければその分、住まいへの愛着もわくことでしょう。

 

たとえば、床、壁のイメージチェンジ、家具もメンテナンスなどはリメイクを兼ねて自分たちの手で作業すると新たな発見や、偶発的に魅力的なデザイン空間が生まれることもあります

ホームセンターやネットショッピングでは必要な分だけの材料を購入できるほか、資材を希望通りのサイズにカットしてもらうことや、自宅まで配達してもらうことができるのも魅力です。

 

新たにタイルを貼ってリメイク。生まれ変わったベランダ用テーブル

DIYには「失敗」という言葉はありません

なぜならやり直しはいくらでもできますし、失敗と思っても逆にそれが味わい深いものなることもあり、まさに無限大の可能性があるからです。

 

初めの一歩は勇気が入りますが、Tさんご夫婦のように、一度その世界に入ってしまえば、自分らしく楽しい空間づくりを楽しむことができるはずです。

Enjoy interior+DIY!

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