住まいのノウハウ講義 / 売る / 不動産売却の基本

「囲い込み」「値こなし」といった不動産会社の手口

「高い査定額を出す」不動産会社を信じてはいけない!その裏にある落とし穴とは?

2016/01/04 高橋正典

不動産の売買は大きなお金が絡んでいるので、その手数料なるものも大きくなってきます。そのため、不動産仲介会社の中には、自社の利益だけを考えて不利な価格での売却を誘導する場合もあります。

不動産仲介会社が狙う「両手取引」

 不動産仲介会社による売買仲介には、「片手取引」と「両手取引」という2つのパターンがあります。

 片手取引とは、売り主側にX社、買い主側にY社というように両者に不動産仲介会社がついている場合です。この取引が成立した場合、X社は売り主から、Y社は買い主からそれぞれ「物件価格の3パーセント+6万円」(税抜)を上限とした仲介手数料を受け取ることになります。

 一方、両手取引とは売り主側と買い主側の不動産仲介会社がZ社という、1社で売買取引が行なわれるものです。売り主から売却依頼を受けた物件を、自社の顧客に売るケースです。この場合は、両者から仲介手数料が入るので倍の利益となります。

 この両手取引は不動産仲介会社にとって「おいしい」取引なので、売却依頼を受けるといち早く買い手を見つけ両手取引に持っていくためにも安い価格設定をしたいと考えるわけです。

 しかしこの方法では、「少しでも高く売りたい売り主」と「少しでも安く買いたい買い主」の思惑が一致するはずもなく、日本では禁止されていませんが、海外の多くの国では法律で禁止されている取引なのです。逆に、大手会社になればなるほど両手取引の割合が高くなり、とある大手不動産会社の2013年度の平均仲介手数料は5.33パーセント(「週刊住宅新聞」調べ)…すべてが両手取引だとすれば平均は6パーセントになりますので、かなりの割合で両手取引が行なわれているといえます。

 この両手取引へ誘導されて安値で売ることは、絶対に避けましょう。

自社で完結させようとする「囲い込み」

 両手取引にもつながりますが、売却依頼を受けた物件を他社に紹介しないことを「囲い込み」といいます。

 たとえば、X社が売り主から専任媒介契約(1社のみに売却を依頼する契約方法)で売却依頼を受けると、不動産業者間の情報ネットワーク「レインズ」に情報を登録します。

 すると、それを見たY社が自分の顧客にその情報を紹介、気に入ると「X社の物件を気に入っている顧客がいる」と問い合わせます。しかしX社は「あの物件はすでに商談中」などと理由をつけ断ってしまうのです。

 これは両手取引を狙っているため、ほかの不動産仲介業者には紹介せず自社の顧客に売ることを優先しているからです。このような囲い込みにより、売り主は物件を売却できるチャンスを逃してしまうことがありますが、実際囲い込みが行なわれているかどうかを売り主が確認するのはむずかしいことです。

 この囲い込みは大手会社でも横行していますが、不正行為ですので、国土交通省は売り主が自らの物件の「レインズ」登録状況を確認できる「ステータス管理」を2016年から導入、囲い込みの是正を図っていきます。

高い価格設定の落とし穴、「値こなし」という悪習

 中古物件の売却に際し、多くの売り主は複数の不動産仲介会社に査定を依頼するのが一般的です。その中で一番高い査定額を出してきた会社に売却を依頼することが多いわけですが、そこに落とし穴があります。

 この高い査定額というのが、不動産仲介会社の戦略でわざと売れない高値を設定するのです。無理な高値なのでなかなか売れません。そして、売れないことがわかっている不動産仲介会社は積極的な販売活動を行いません。

 そのまま数カ月が経ち、売り主がしびれを切らした頃に「このままでは売れないので、大幅な値下げをしましょう」と持ち掛けるのです。これが、時間をかけて「値」を「こなす」ことから「値こなし」と呼ばれる手法です。

 不動産仲介会社のモラルにも問題がありますが、売り主も高い査定を出してくれたからといって安易に契約を結んではいけないのです。査定価格を吊り上げることがゴールではなく、査定価格と成約価格には差があることを理解しておかなければなりません。

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