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快適な住環境を実現するために(3/6)

シックハウス症候群を防ぐ家づくりのポイント

2016/01/29 山田章人

毎日のようにニュースで話題になるのが、地球温暖化や資源の枯渇など環境破壊に関するものです。このような問題を、自分たちの住居や住んでいる周辺地域の観点から見直すのが地球環境共生住宅という考え方です。

家だけでなく地球規模で考えるエコ

 すでに、大手ハウスメーカーを中心に環境に配慮した住宅づくりは始まっています。「どれだけ環境に配慮しているか」を競うことで、エコに対する関心も高まってきています。

 コンセプトとしては「地球にやさしい」「地域の環境に親しみやすい」「住人が健康である」ということです。それぞれ重要なテーマではありますが、これらの3つの要素を調和させることを目的としているのが、地球環境共生住宅です。

 これらのテーマを建築に置き換えると、以下のようになります。

(1)「地球にやさしい」…建設・解体・廃棄のサイクルにおける環境保全
(2)「地域の環境に親しみやすい」…周辺環境との親和性
(3)「住人が健康である」…無害で快適な住環境

 具体的には、建築部材として化学物質を使っていない天然素材を採用したり、加工されたものだとしても人・環境に無害なものを使用したり、太陽光などの自然エネルギーを活用したりという動きを指します。

どのような素材を使用するのか

 地球環境共生住宅で採用される、代表的な素材例を紹介しましょう。

 床・壁には無垢材を使用し、壁は珪藻土で仕上げます。床に張るクロスは、オレフェン系クロスや紙のクロス、断熱材にはセルロースファイバーを使用します。

 なぜこのような素材を使用するのか。それは、数十年後家が解体・廃棄されることになったときに、焼却処分などを行なってもダイオキシンに代表される有害物質を排出しないからです。つまりは「地球にやさしい」家というわけです。

 このような考えをLCC(ライフサイクルコスト)といいますが、実は戦前の日本の家屋はこのLCCが非常に優れた建物であったといえます。地元の木や土を使い、大切に長持ちさせる住まいです。ハウスメーカーの建て方がこの考えを変えてしまったのにもかかわらず、いま、声高にLCCは大事ですと大手が謳っているのは時代の流れを感じます。

 また、新築の家においてもシックハウス症候群と呼ばれる倦怠感・めまい・頭痛などを防ぐことができるので、「住人が健康である」家でもあります。

 性能高い断熱材は消費電力の削減につながり、敷地内に緑を増やすことで温度上昇を防ぐこともできます。これらは、「地域の環境に親しみやすい」施策となります。

新築のトラブルの要因・シックハウス症候群

 上述した通り、新築の家でトラブルとなりやすいのがシックハウス症候群です。

 これは、家を長期間保存させるために化学物質を使った結果、その物質が原因で住人の健康に悪影響を与えてしまうことです。せっかくの新しい家も、化学物質に蝕まれてしまっては、どうしようもありません。

 現在は、シックハウス症候群の原因と考えられている化学物質の使用は制限されていますし、その基準に沿って家は建築されます。しかし、広い意味でとらえると、室内に発生しやすいダニやカビによる被害対策のほうが重要になります。

 このダニやカビ、結露や換気をしないことが原因で増殖します。現在の家は、気密性について計画性がなく、中途半端な位置づけにあるため、実はダニやカビが増殖しやすい環境にあるといえます。そこで、構造や素材を総合的に考慮し、結露を起こさない計画的な気密と換気性能のよい施工をする必要があります。

 このシックハウス症候群を予防するため、2003年7月に建築基準法が改正され、汚染物質のひとつであるクロルピリホス(シロアリの駆除に使用される)が使用禁止になりました。同時に、接着剤から排出されるホルムアルデヒドの使用が制限され、換気装置の設置も義務づけられました。

 このような法改正と業者の配慮により、「設計・施工ガイドライン」(健康住宅研究会作成)が完成し、業界全体がこの問題解決に取り組むようになりました。

 最近では輸入等で少し変わったものをわからないまま導入しないかぎり、この基準を満たさない製品を探すほうがむずかしくなりました。

 ただ、いまだに多いのは家具に使われる接着剤です。家具には使用する接着剤の制限はありません、その上で細かい部材の組合せなので、接着剤の使用面積も大きく空気汚染の盲点となっています。安価な物を求めて海外の輸入品が多いのも心配です。

 自分の家がトラブルに巻き込まれないようにするためにも、しっかりと事前に話をしておくことが重要です。わからないことはすぐに質問し解決する、これが安心の家づくりの基本です。

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