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プロが教える賢い見積もりの取り方(1)

リフォームに「ディスカウント」は考えにくい

2016/02/25 森田祥範

リフォーム業者に工事をお願いするとき、消費者側の最大の関心事は「工事にいくらかかるか」。工事業者を決定する際にも、つい「工事代金がもっとも安い業者」を選びがちです。しかしリフォームの世界では、「安かろう悪かろう」ということわざが、つねに正しいといえます。特に外壁塗装の場合は業者間で大きく価格差が出ますので、本項ではそれを例にして、リフォームに「ディスカウント」が成立しにくい理由を説明します。

「ディスカウント」という表現は魅力的だけど

 消費者は「ディスカウント」という言葉に弱いものです。それは、リフォームについても例外ではありません。

 たとえば、リフォーム業者の折り込みチラシに「年度末につき、スーパーディスカウントキャンペーン実施中! 当社比50パーセントOFF!!」なんてキャッチコピーを見つけると、「あっ、ここ、いいかも!」とつい反射的に思ってしまうもの。

 でも、よく考えてみてください。リフォームに「ディスカウント」なんてあり得るのでしょうか。

 その商品が自動車やブランド服飾品などの「完成品」であり、かつ事前に「定価」が決まっているものであれば、「ディスカウント(=値引、割引)」されることも当然あり得ます。そして、定価の決まっている完成品を、その定価より安い価格で購入することができれば、消費者にとっては「お得」になります。

 しかし、リフォームの場合は、これから完成する商品に対して、業者と契約を結ぶ(=●●万円支払うと約束する)ことになります。また、その価格についても、事前に定価がきっちり決められているわけではありません。

 つまり、リフォーム契約とは、「定価の決まっていない」「未完成品」に対して、お金を支払う約束をすることです。こうした売買契約には、そもそも「ディスカウント」という概念は馴染みにくいといえます。

リフォーム工事に「定価」は存在しない

 たとえば、業者が「当社比50パーセントOFF」を宣伝していたにしても、その業者の売価を初めから2倍にしておけば、50パーセント引きにしてちょうど通常価格になります。リフォーム工事にそもそも定価はなく、業者は売価を自由に決められるのですから、一見ディスカウントに見える操作など、いくらでもできるわけです。

 また、「未完成品」をディスカウントで買うことにも、大きなリスクがともないます。というのも、リフォーム工事には定価がないかわりに、適正価格の相場があるからです。

「未完成品」の料金をケチると…

 実際にあったケースをご紹介しましょう。

 あるリフォーム業者には営業マンしかおらず、受注したリフォーム工事はすべて外注に出すシステムになっていました。そのリフォーム業者の営業マンは、とにかく契約がほしくて、あるお宅の外壁塗装工事を適正価格の相場より50パーセントも安い価格で受注してしまいました。リフォーム業者と外注先の取り決めでは、契約金額は折半になっていましたから、極端な話、いくらで契約してもリフォーム業者は儲かるわけです。

 一方、困ってしまったのが、外壁塗装工事を請け負う外注先です。適正価格の半額でリフォーム契約が結ばれ、しかも取り分はその50パーセントですから、実際に受け取る金額は適正価格の4分の1になってしまいます。これでは利益が出るどころか、大赤字に。これではさすがに、まともな工事なんてできません。

 そこでその塗装業者は、経費をできるだけ節約するため、見積書にあった材料よりも1ランク品質の低い材料を使うことにしました。また、材料の使用量を節約するため、通常は二度塗りする工程を一度塗りに。さらに人件費を節約するため、通常はベテラン職人3人で行なう工事を、ベテラン1人、アルバイト1人でまかなうことにしました。いわゆる、手抜き工事です。当然、その仕上がりは極端に落ちますが、赤字分を少しでも補填するためには、塗装業者としても苦渋の決断をせざるを得ませんでした。

 こうして、料金が不適正にディスカウントされたことにより、その家の外壁は、リフォームする前よりも見た目が汚くなってしまいました。耐久性も劣化したため、結果的に、家の寿命を縮めることになってしまったのです。

 このように、リフォーム工事でディスカウントを期待すると、結局は消費者が損をすることが多いのです。リフォーム工事では、「安かろう悪かろう」が原則。リフォームで失敗しないためには、消費者もリフォーム業者も笑顔になれる、win-winの契約を結ぶこと。そのためには、できるだけ適正価格に近い形で契約することです。

 ほかの項でも記していますが、リフォームの業者選びに迷ったら、必ず施工現場を見せてもらうことです。
それと利害関係のない第3者の専門家に図面、見積書を見てもらうことです。きっとあなたが考えもしなかった問題点が出てくるかもしれません。

 一度冷静になって判断してみる時間を持つことも必要です。

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