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不動産の分割でもめるこれだけの理由

不動産の相続でもめると相続税が高くなる

2016/02/22 今井利行

不動産は簡単に分けられないため、相続でもめるケースのほとんどは不動産が原因になっています。相続争いがあると税法の特典が受けられないなどのデメリットがあります。

不動産は分けにくい

 相続というと、ミステリー小説や2時間ドラマでは殺人事件が起きてしまうように、「骨肉の争い」をイメージする人も多いと思います。小説やドラマの世界では、遺産相続が起こるのは資産家の家庭ですが、現実はそうではありません。自宅以外にはそれほどの財産がない、ごく一般的な家庭でも相続争いは起こります。家が一軒あれば十分、相続はもめるのです。

 実は、相続でもめる事例のほとんどは、不動産が原因です。その理由は、不動産という財産の性質が大いに関係しています。

 不動産の相続がもめるいちばんの理由は、簡単に分けられないことです。現金であれば簡単に分割できますが、たとえば兄弟がふたりいたからといって、自宅を半分に切り分けて、それぞれが相続することは不可能です。土地であれば半分にすることはできますが、単純に面積で半分にしたとしても、道路に面しているかどうか、日当たりがいいかどうかなど、それぞれの条件で価値が変わってきてしまいます。

 また、世の中にまったく同じ不動産はふたつと存在しません。仮に、家を2軒持っていたとして、ふたりの子どもにそれぞれ1軒ずつ相続させても、場所も違えば周囲の環境も違いますし、建物も違います。多かれ少なかれ不満が出ることになるでしょう。

 資産家であれば、不動産を受け継ぐかわりに、その価値に相当する現預金を受け取るといった遺産分割をすることも可能ですが、むしろ自宅以外には分ける財産がないといった一般の家庭のほうが、かえって相続争いに巻き込まれやすいのです。

相続税はどれくらい増税されたのか?

 平成27年1月以降の相続から、相続税が増税され、その前年あたりから大きな話題になりました。最も影響が大きかったのは、相続税の基礎控除の縮小です。これがどういうことか簡単にいってしまえば、相続税の申告をしなければならない人が増えたということです。

 それまでは、100人が亡くなると申告が必要な人は4人ほどでした。それが、相続税法が改正され、基礎控除がそれまでの6割程度にまで一気に引き下げられたため、100人が亡くなると6〜7人程度になると試算されています。これは全国平均の数字ですから、大都市での数字はもっと大きくなり、たとえば東京圏についていえば、20人以上になるとまでいわれています。

遺産争いで不幸になるのは誰か?

 そう考えると、あれだけ大騒ぎになったことも納得できます。増税と聞いて、一般の人が、相続税とその節税対策に関心を持ち、その仕組みや計算方法を知ろうとするのは当然でしょう。

 ですが、相続対策というのは節税がすべてではありません。むしろ、相続でもめないこと、円満に財産を分割し、相続後もその財産を守っていくことが、節税と同じくらい、いえ、それ以上に大切だといえます。

 もしも相続でもめてしまえば、いったん壊れてしまった兄弟姉妹関係、親子関係は元に戻ることはありません。そうなってしまったら、財産を残して亡くなった方(「被相続人」といいます)も不幸です。遺産争いで不幸になるのは、もめごとを起こした当人たち(財産を受け継ぐ人たち=「相続人」)だけではないのです。

遺産分割はいつまでにしなければいけないのか

 遺産分割はいつまでにやらなければいけないという決まりはありませんが、相続税の申告と納税の期限は、被相続人が亡くなった日の翌日から10カ月と決められています。

 遺産分割でもめているから待ってくださいと言っても、税務署は聞き入れてはくれません。そうなると、非常に不利な条件で仮の申告、仮の納税をしなければなりません。遺産分割ができていないと、相続税法で認められている特例(税金が安くなります)を受けることができないので、税金の負担はとんでもない額になってしまいます。

 それに、財産の処分もできません。不動産を売却しようとしても、遺産分割がすんで相続人の名義に変更されていなければ、売ることができないのです。もめている間に、地価が下がってしまうかもしれませんし、有利な買い手がいなくなってしまうかもしれません。

 そう考えると、相続争いは絶対に避けなければいけないことがおわかりいただけると思います。相続争いを起こさないためには早めの対策が大切です。ここではもめない不動産の相続対策について考えていきましょう。

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