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住まいの分散に合わせて働き方を見直す

仕事づくり―デュアルライフに求められる「複業」の発想とは?

2016/01/05 馬場未織

住まいの分散に合わせて働き方を見直したいなら、まずは「複業」の実践から始めましょう。

「副業」ではなく「複業」の時代へ

これまでの記事でも何度か触れている仕事の話。完全な移住の場合、移住先で勤め先を探せばいいという考え方であれば、ある意味では都市暮らしと同じ発想もできますが、デュアルライフや多地域居住の場合、いったい仕事をどこですればいいのか? という問題が出てきます。それを考える上でヒントになるキーワードを紹介します。

「副業」と「複業」。この2つは似て非なるものです。「副業」はいうまでもなく、「主」の仕事があった上で、家計を補うため会社勤めの傍らに別の仕事をしたり、あるいは趣味が高じて収入を得るようになったりするものをさします。一方の「複業」とは、どれが「主」でどれが「副」とはいえない働き方です。フリーランスの人であれば違和感が少ないかもしれませんが、それでも大抵の人は、カメラマン、建築家、デザイナー、などと、メインの業種が決まっているのではないでしょうか。「複業」の場合は、ジャンルをも越えて幅広い働き方を指すことが多いようです。

 会社員の場合、従来は副業を禁止していた企業でも、業績不振を背景に「二足のわらじ」を履くことが認められるようになってきました。「クラウドソーシング」と呼ばれる仕組みが増えていることもあり、本業との両立にもあまり苦労の要らない環境も整っています。副業から始めて複業に発展する人もいるでしょう。

正社員なのに週3日勤務!?

 副業(もしくは複業)が認められるようになったとはいえ、週5日、朝から晩まで「本業」の仕事で拘束されていては、ほかの仕事に取り組む余裕などありません。そこで、デュアルライフを視野に入れるなら、「週3正社員」など、新しい雇用形態を採用する会社への転職を検討するのも一案です。

「ハタラキカタをもっと自由に」をテーマに掲げる転職・求人サイト「PARAFT(パラフト)」には、こうした案件が数多く掲載されています。募集案件の働き方のポイントを見ると、「週3ママ正社員」「複業OK」「リモートワーク」「在宅勤務」「時短勤務」「ゆっくり出社」といった文字が並びます。たとえば、週3正社員として火〜木曜まで都会に勤務し、木曜の夜からデュアルライフ先に移動するスタイルなら、週の半分以上を好きな地域で暮らすこともできます。

 まずはこうした働き方ができる会社に所属し、片方の軸足を組織に置きながら、さまざまな「複業」を重ねて、組織に頼らなくても稼げる力をつけていく。こうした段階的な働き方のシフトなら、リスクも少なく非常に現実的です。デュアルライフならぬデュアルワークとでもいえそうです。

収入源のポートフォリオを見直そう

 複業のあり方を「月3万円ビジネス」と称して奨励しているのが栃木県那須町にあるテーマパーク「非電化工房」代表の藤村靖之氏です。電気に頼らない暮らしを実現するため、さまざまな非電化製品を発明する傍ら、藤村氏が提唱する「月3万円ビジネス」とは、文字通り、月に3万円しか稼げないビジネスのこと。もちろんそれだけで暮らせる人は少ないでしょうから、複数の月3万円ビジネスを組み合わせて、生活に必要な収入を得ようという考え方です。つまり、収入源を1カ所に頼るのではなく、複数に分散させてポートフォリオを見直そうというわけです。まさに複業の実践です。

 このビジネスの最大のポイントは、いいことしかテーマにしないこと。「いいこと」とは、人や社会が幸せになることです。いわゆるソーシャル・ビジネスです。月に3万しか稼げなければ、暴利を貪ろうという欲深い人は見向きもしないので、過当競争が生まれません。だからこそ、「奪い合い」ではなく「分かち合い」のビジネスが生まれやすいのだといいます。都会を離れ、少しゆったりした時間の流れる地域で起こすビジネスには、ピッタリの考え方といえそうです。

 ほかにも、「小商い」「ナリワイ」といったキーワードで、さまざまな新しい働き方を実践する人が増えてきました。こうした柔軟な働き方のいいところは、移住やデュアルライフといったライフスタイルの変化に強いばかりか、景気の悪化による影響も受けにくい点です。世の中の趨勢に左右されずに住みたい場所に住めるよう、ぜひ「複業」の発想を身につけることをおすすめします。

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