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少しでも高く自宅を売却するために

住宅の売り出し価格はどうやって決まるのか

2016/01/04 高橋正典

中古住宅を売るにあたって一番気になるのは、売り出し価格の設定です。この価格をどれだけ高く設定できるかによってこれからの予定も立てやすくなりますが、実際にどのような方法で建物の価値・価格が決まっているのかを紹介します。

住宅の売り出し価格を決める3つの方法

 中古住宅を売る時には、少しでも高く売りたいと思うもの。その売り出し価格を決める方法は主に3つあります。

 まずは「収益還元法」。これは、不動産を貸した時に得られる賃料(家賃)から不動産価格を割り出す方式で、主に投資用住宅の価格を決めるときに使われます。一軒家のほか、アパート経営者などが不動産を取得する時の目安となる方法です。

 次に「原価法」。この方法では、対象となる不動産をもう一度作ると仮定して、土地代・建物代などをシミュレーションし最終的な価格を割り出します。建物の場合は、リフォームや大規模修繕などで価値が上がった分も考慮されるべき算出方法ですが、ほとんどの不動産会社は査定価格を決める時には実際にはあまり考慮してくれません。たとえば、木造住宅では「築10年であれば新築価格の半額」「築20年以上の物件は0円」というように、慣例がそのまま適用されることがほとんどです。

 しかしながら、不動産にはまったく同じものはありません。同じマンション・同じフロア・同じ仕様だとしても、メンテナンスやリフォームの有無で状況はだいぶ変わってきます。築何十年という木造建築でも、古民家としての価値を感じる買い主にとっては魅力的に映ります。そういう意味でも、築年数で価格を決めることは根拠がないのです。

 この「原価法」の欠点を補う方法が、「取引事例比較法」です。これは、対象となる不動産と条件が類似する不動産の過去の取引事例を調査し、最終的な売り出し価格を決める方法で、中古住宅の場合は多く採用されています。

 売り主が不動産仲介会社に査定を依頼すると、この方法によって見積もりを出してきます。たとえば「このエリアのこの間取りだと去年はこれくらいだったけど、今年は景気がいいので少し上げようかな」といった具合に、経験と勘により価格を割り出します。

変化する住宅の価値の考え方

 実は、中古住宅の価値の考え方は普遍的なものではなく時代によって変化しています。

 2015年5月に自民党の中古住宅市場活性化小委員会は、「中古住宅市場活性化に向けた8つの提言」を発表、その中には「担保評価を含む『20年で一律価値ゼロ』とみなす市場慣行の抜本的改善」が含まれています。同年7月には、住宅の性能・リフォームの有無などを反映させた価格査定を行えるよう「既存住宅価格査定マニュアル」の改定も実施されました。

 これは、現状の住宅価格の考え方として、木造建築の場合築20年以上の物件については価値がゼロと評価する慣例があるものの、もともと耐久性の高い住宅やリフォームを行った住宅に関しては長期使用が可能であることから、個別の質・メンテナンスの状況をふまえた建物評価を行い、担保評価にも反映するように改善しようとする提言です。

 元は同じでも、20年もの間何もメンテナンスをされていない住宅と、適切なリフォームを行ってきた住宅とでは、明らかに建物の健康状態は違うのです。その健康状態を明らかにすることで、建物に本来持っている価値に応じた価格をつけることができますし、それこそが中古住宅価格の本来の姿なのです。

 より高い売り出し価格を設定するには?

 このような方法がある中古住宅の売り出し価格の算出方法ですが、その価格をより高めるにはどうすればいいのでしょうか。

 それには、これまで不動産仲介会社が積極的に取り組んでこなかった以下のような方法を実践することが必要になります。

●競合対策(同エリア・同価格帯の住宅)を練る
●専門家による建物診断を行い、建物の価値を証明する
●情報をオープンにし、正しい情報公開を行なう

「より高い価格で売る」ことよりも「より安く多く売る」ことを目的にしている不動産仲介会社の営業担当者がいることは以前紹介しましたが、そのような営業が多いことからこれらの観点はないがしろにされてきました。逆にいうと、これらに取り組めばより高い売り出し価格を設定できるということなのです。

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