住まいのノウハウ講義 / 住宅ローン / 借り方、返し方

ケース別、住宅ローンの考え方(7)

家計に余裕があるうちに繰り上げ返済する、は正しいか?

2016/02/26 牧野寿和

いまは家計の余裕があるけれど、将来は教育費の負担などで出費が増えることがわかっている場合、余裕があるうちに住宅ローンを繰り上げ返済すべきでしょうか? 将来の家計を楽するためにできることを考えてみましょう。

将来の家計を楽にするためにできることは?

 会社員のEさんは34歳。2年前に住宅ローンを組んで、マイホームを購入しました。将来は子どもの進学で家計が厳しくなることを予想し、また金利上昇リスクにも備えて、全期間固定金利型1本で住宅ローンを組んだEさんですが、実際に返済が始まってみると家計は思っていたよりも大分余裕があり、一人息子が義務教育を終えるまで、まだ8年あります。

 Eさんが将来の家計を楽にするために、いまできることはどんなことがあるでしょうか。

 Eさんの場合、現在の収入に余裕があって、将来的にいまよりお金の余裕が無くなることがわかっています。このような場合、一般的には、家計が厳しくなる前に、できるだけ繰り上げ返済してローン残高を減らしておきましょうということがよくいわれます。そうしておけば、後々家計がラクになるという理由からです。

 たしかに、繰り上げ返済は住宅ローンの元金を減らすものなので、元金に対して発生するはずだった利息をカットすることができます。月々の返済額を少なくする返し方を選んで繰り上げ返済を行なえば、住宅費の支出を抑えることができるので、子どもが高校、大学へと進学するときに教育費に負担が増えたとしても家計はバランスが取れるというわけです。

本当に繰り上げ返済はおすすめか

 ただし、それは将来も安定した収入があるということが前提になっています。実際にはそのような保証はありません。給料カットがあるかもしれませんし、リストラで職を失うことも考えられます。また病気で働けなくなる可能性や、親の介護にお金が必要になる可能性もあるでしょう。

 もし教育資金を十分に用意できていない状態で繰上げ返済を優先し、収入が減ってしまったら、新たに教育資金のためにローンを組まなければならないかもしれません。住宅ローンより低い金利で借りられるローンはほかにはありませんから、金利の低いローンを返すために金利の高いローンを借りるのと同じことになってしまいます。そのような事態は絶対に避けなければなりません。

繰り上げ返済は教育資金を確保した後に

 家計に余裕があるうちにできるだけ貯蓄をしておきましょう。余裕資金があれば、住宅ローンの金利以上の利回りで運用することも可能ですから、貯蓄の一部を積極的な運用に回してみるのも一考の価値はあると思われます。

 現在のような低金利の時代に長期の固定金利でローンを組んでいるのですから、繰り上げ返済をするメリットはほとんどないといえます。低金利の恩恵として住宅費の負担が軽減されている分、貯蓄や運用で教育資金と老後資金を確保することを優先し、住宅ローンの繰上げ返済を考えるのは、少なくとも教育資金の確保ができた後、できれば老後資金にもメドがついたあとにすることをおすすめします。

 念のため、客観的に、Eさん夫婦が男性の平均寿命80歳女性86歳まで生きるとして、生涯の家計収支のシミュレーションをしてみて、家計の余裕度を確認することもおすすめします。

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