住まいのノウハウ講義 / 買う / 住宅購入の基礎知識

「新耐震基準」が定めるふたつの基準

住宅購入時、建物の耐震性について知っておきたい基礎知識

2016/01/04 秋津智幸

安全性を重視する場合、地震による液状化や水害などを受けにくい立地を選ぶと同時に、建物の耐震性や耐火性と直接関わってくる建物構造に注目しましょう。ここでは、建物の安全性について知っておきたい基礎的な知識を解説します。

「新耐震基準」とは?

2011年3月に発生した東日本大震災の影響で、建物の安全性に対する意識はますます高まっており、またマンションの安全性に関する問題では、大手企業の分譲マンションの杭に関するデータ偽装問題も記憶に新しいところです。

安全性を重視する場合、地震による液状化や水害などを受けにくい立地を選ぶと同時に、建物の耐震性や耐火性と直接関わってくる建物構造に注目しましょう。

まず、各自治体では、津波や河川の氾濫による浸水や液状化などの自然災害による被害予想をエリアごとにまとめたものが各種の「ハザードマップ」として公開されています。各自治体のハザードマップは、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」にまとめられているので、参考にするといいでしょう。

建物構造については、建築基準法における耐震性の規定が1981年6月1日から適用されており、「新耐震基準」と呼ばれています。正確には、この日以降に「建築確認申請」を行なった建物が「新耐震基準」の建物といえます。
したがって、建物の完成が1981年6月1日以降でも「新耐震基準」の建物であるとは限りませんので、注意が必要です。

「新耐震基準」が定めるふたつの基準

「新耐震基準」は、建築物の耐震性の最低基準を定めたもので、ふたつの基準が設定されています。
簡単に説明すると、ひとつ目の基準は、おおむね震度5程度の地震に対しては建物の構造に損害を与えないものにする。ふたつ目の基準として、震度6強~7程度の地震に対しては、建物にはある程度の被害が出てもいいが、建物のなかや周辺の人に被害が出ないものとしています。

つまり、頻度の高い地震に対しては建物に影響が出ないように、大地震の際は建物を使う人や周辺の人が安全に建物の外に避難できる時間を確保するための基準ということです。「耐震」といっても建物が壊れないように造られているものではないという理解が必要です。

「制震構造」と「免震構造」

上記の「耐震」の考え方を一歩進めて、「人も建物も守れないか」という発想から生まれたものが「制振構造」と「免震構造」です。

「制振構造」では、建物内に「ダンパー」と呼ばれる地震の揺れを吸収する装置を組み込むことで、“揺れ”を抑え、建物に掛かる負担を抑制します。これにより、「耐震構造」に比べ、繰り返しの地震に対して建物の損傷が軽減され、より建物自体を守ることができます。コスト的には耐震構造よりは割高になるものの、以下に説明する免震構造よりも安価で、昨今は免震構造のマンションより供給数は多くなっています。

次に「免震構造」は、建物と地盤(地面)を切り離し、地盤と建物の間に免震層という構造をつくり、建物への揺れの伝わりを極力抑える構造です。免震層は、揺れを抑える「ダンパー」と建物を支えながらゆっくりと移動させる「アイソレータ」と呼ばれるものを組み合わせたものとなっています。

「免震構造」の建物は、地面と建物を切り離すことで、建物自体が守られるのですが、その工法自体が高額になるため、物件価格も高い傾向にあることと、垂直方向の揺れに対してやや弱いと言われている点がデメリットです。また、「免震構造」の建物では、小さな地震揺れでも上層階では揺れが大きくなることがあり、この点も揺れが苦手な方にとってはデメリットになります。

ただし、上記の制振構造や免震構造の建物は、一般的なマンションよりもどうしても高額になるため、全体的に供給数が少なく、気に入った場所では新築として供給されていないことがほとんどです。

したがって、どうしても免震や制振といった地震や災害に強い工法の建物を求めたい場合は、中古も視野に入れる必要があります。

なお、建物ではありませんが、地盤の固い立地を選ぶということも地震対策のひとつといえます。ヒントとしては、地名に「丘」や「山」などがつく場所を選ぶ、逆に「谷」や「沼」などの水に関係する地名は避けるといったことも昔からよくいわれています。ちなみに、高級住宅街として知られているところは昔から地盤が固いといわれているところが多いようです。

<< 前の記事 次の記事 >>

講師に感想や読みたい記事のリクエストを伝えよう

注目の講師

住まいの大学 書籍のご案内
HOME4U