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遺産分割に100パーセントの満足はなし

相続争いを避けるには遺言書がいちばん有効

2016/02/22 今井利行

遺産分割に100パーセントの満足はありません。どんな方法で分割しても必ず不満は残ります。相続争いを避けるためには遺言書を残すことが有効です。相続人以外に財産を残したい場合も遺言書は有効です。

遺言書は被相続人の意思を伝える手段

 相続争いをなくし、円満に財産を分割するにはどうしたらいいのでしょうか。財産をどう分けるかについては、財産を遺す側である被相続人も、それを受け継ぐ側である相続人も、それぞれいろいろな思いがあることでしょう。ですから、どのような分割のしかたをしても、全員が100パーセント満足することはありません。

 そうであれば、いちばんよい方法は、被相続人が、その財産をどのように分けるかを相続人にはっきりと伝えておくことです。その意思を法律的に確実なものにするのが遺言書です。遺言書を用意しておくことが、相続争いを防ぐ最も有効な手段といえるでしょう。

相続争いが起こりやすい5つのケース

 考えてみれば、相続財産は、もともと被相続人のものです。自分の財産は自分の好きなように受け継がせたいと思うのは当然です。死んでしまった後ではどうにもなりませんが、あらかじめ遺言書を残しておけば、自分の思うように財産を受け継がせることができます。

 逆にいえば、相続人が遺産分割協議をしなければならないのは、遺言書がないからです。遺言書を作成しておくことは、相続争いを避けるために欠かせないことなのです。特に、次のような場合には争いが起こる可能性が極めて高いといえますので、遺言書を用意しておくことをおすすめします。

(1)兄弟姉妹の仲が悪いケース
 これは必ずといっていいほど相続争いが起こります。特に、長男が昔気質の考え方で、「自分が家を継ぐのだから」と多くを要求するようなタイプである場合は、要注意です。

(2)離婚して再婚しているケース
 離婚した相手、再婚相手とのどちらの間にも子どもがいると最悪です。離婚した相手は相続人にはなりませんが、子どもは当然相続人です。こうした場合、相続人同士の仲がよくないケースが多いので、相続争いが起こる可能性が高いです。

(3)内縁関係にある相手やその子どもがいる場合
 内縁関係にある相手(内縁配偶者)は相続人になることができません。ただし、その相手との間に子どもがいる場合、認知していれば相続人になります。こういった場合、他の親族との関係性はよくないケースが多いので、もめる可能性は少なくありません。

(4)経済的に苦しい相続人がいる場合
 失業している、職にはついているけれど収入が少ないなど、経済的に苦しい相続人がいると、1円でも多く財産を相続しようといろいろ要求してくることが考えられます。そうなると他の相続人も黙っていませんので争いが起こる可能性が高いです。

(5)相続人の数が多い場合
 被相続人に子どもがいない場合、そして、父母や祖父母が亡くなっている場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。もし、その兄弟姉妹の誰かが亡くなっていると代襲相続人として更に甥や姪が相続人となります。相続人が10人以上になることもめずらしくはありませんが、遺言書がなければ、その全員の遺産分割協議が必要となります。

 しかし、相続人が多ければ多いほど、全員の意思が一致することはむずかしくなります。そうなると相続手続きがまったく進まなくなる可能性があります。

財産を残したい相手がいる場合にも有効

 遺言書が有効なのは、相続争いを避けるためだけではありません。遺言書を残すことで、相続人ではない相手にも遺産を残すことができます。

 たとえば、内縁配偶者です。内縁関係にある夫婦は、夫婦の共同生活にかかわる権利義務については、婚姻届けを出している夫婦と同様の権利義務を持っていると考えられています。そのため、内縁関係を解消した場合には財産分与や慰謝料請求をすることなどが認められています。

 ですが、相続についていえば、内縁関係では相続人にはなれませんので、内縁配偶者はそのままでは遺産を受け取ることはできません。内縁配偶者が遺産を受け取るには遺言書が必要なのです(ただし、遺言書がなかった場合でも、他に相続人がいなければ、「特別縁故者」として財産を受け取ることができる可能性があります)。

 また、自分の子どもの配偶者に財産を残したいというケースもあるでしょう。現在でも、親の介護の負担は妻に大きくかかっています。親身になって介護してくれた息子の妻に財産を残したいと考えるケースがあってもおかしくはありません。しかし、養子縁組でもしない限り、子どもの配偶者が相続人になることはできません。そこで有効なのが遺言書なのです。

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