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相続税対策の基礎知識(1/6)

相続税対策は早めに始めなければ効果がない

2016/02/22 高橋敏則

相続税対策は事前対策と事後対策に分けられますが、事前対策をしておかないと大きな効果は期待できません。相続税対策は早めに始めて、長い時間をかけることで成功するものなのです。

相続税の事前対策と事後対策

 相続税対策は、それを行なう時期によって、ふたつに分けられます。ひとつは、相続開始前に行なう「事前対策」で、もうひとつは相続開始後に行なう「事後対策」です。ちなみに、相続は人が死亡することによって行なわれるものなので、相続開始の時期は、被相続人(財産を残す人)が死亡した瞬間です。

 それぞれの対策については改めて詳しく説明しますが、おおまかには図1のようになっています。実は、普通、相続対策というと事前対策のことをいいます。それは、多くの相続税対策は、相続が開始してから行なっても遅いからです。

 事前対策は、財産のうち、相続税がかかる部分を減らしてしまうことが基本です。そのため、(1)養子縁組をしたり相続税の非課税枠を利用したりするもの、(2)生前贈与や売却によって財産を減らしてしまうもの、(3)財産評価の仕組みを利用して評価額を引き下げるもの、といった対策があります。

事前対策を行なわないと大きな効果はない

 これらはあくまでも生前に行なうから節税対策になるのです。たとえば、養子縁組をして相続人を増やすといった対策も、当然、被相続人本人が死亡してしまったら養子縁組そのものが行なえませんし、生前贈与はあくまでも生前に財産を贈与するから節税になるものです。もちろん、遺贈(死後に遺言書によって財産を与えること)によっても財産の贈与はできますが、節税対策にはなりません。

 また、相続財産の評価は、相続開始の日、つまり被相続人が死亡した日の時点の財産の現状で行なうため、財産の評価額を引き下げて行なう節税対策も、相続開始後では意味がありません。

 相続開始後に行なう事後対策にも、相続税の負担を少なくするものはあります。ですが、大きな効果は期待できるものではありません。相続税に限らず、すべての税金の節税対策は、時期が過ぎてしまってからでは手遅れで、事前対策を行なっておかないと効果はないのです。

死亡間際の相続税対策はリスクが大きい

 では、被相続人が生きているうちであれば、相続税対策を行なうのはいつでもいいのかといえばそうではありません。

 被相続人が亡くなる直前に、あわてて行なった対策は、必ずといっていいほど失敗します。死亡間際の相続税対策は、税務署に目をつけられやすく、税務上のリスクが大きいのです。

 まず、相続人が相続開始前3年以内に、被相続人から財産の贈与を受けている場合には、その贈与された財産は、相続財産に含めて相続税を計算することになっています。つまり、せっかく生前贈与を行なって相続財産を減らしても、その後3年以内に被相続人が死亡した場合は、節税対策にはならないのです。

 また、被相続人が病気になってから、あるいは亡くなる直前に行なった養子縁組や、借金をして行なった不動産の購入は、ほぼ間違いなく税務署とのトラブルのもとになります。こうした亡くなる直前に行なった対策はきわめて不自然で、本人が行なったものではなく、相続人が勝手にやったものとみなされてしまいます。

 これに対して、早めに始めた相続税対策は失敗することはまずありませんし、大きな効果が期待できます。たとえば、年間110万円以内の贈与には贈与税がかからないため、これを利用して相続財産を減らせば、時間はかかりますが相続税の節税ができます。

 たとえ単純な相続税対策であっても、長い期間をかけて行なうことで大きな効果を生み出すことが相続税対策の基本なのです。

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