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住宅ローンの賢い返済方法(5)

繰り上げ返済はいつ行なえばいいの?

2016/01/04 牧野寿和

繰り上げ返済とは、元金を減らすことで利息を減らすもので、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つがあります。ここでは、具体例を用いてそれぞれの効果的な利用法と注意点を説明します。

「期間短縮型」のメリット、デメリット

 繰り上げ返済とは、元金を減らすことで利息を減らすものです。繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」のふたつがあることは前の項で説明しました、ここでは具体例を用いてそれぞれの効果的な利用法と注意点を説明します。

 期間短縮型は、繰り上げ返済によって残りの返済回数を減らすもので、これを利用することで完済までの期間を短くできます。

 期間短縮型を使うメリットは、返済額軽減型と比べて利息軽減の効果が高い点です。また、住宅ローン返済に気を揉む期間を短くできるというのもメリットといえるでしょう。デメリットは、「もし何か不測の事態が起こっても、返済期間を再び延長するのはむずかしい」という点です。

「返済額軽減型」のメリット、デメリット

 返済額軽減型は、毎月の返済額の元金部分に繰り上げ返済をしたお金を充当し、その部分に発生したはずの利息もなくなるというものです。

 返済額軽減型を使うメリットは、月々の家計の負担を軽くできることです。負担を軽くするので、期間短縮型を利用するより不測の事態に強いといえます。デメリットは、まとまった金額を使わなければ返済額の軽減効果が小さいという点です。

具体的なケースで考えてみよう

 具体例で見てみましょう。ローン残高3000万円で残り返済期間30年、全期間固定金利型の金利3.0パーセントで住宅ローンを借りているとします。

 元利均等返済でこのまま返済し続ければ、元金と利息の総返済額は4553万円ですが、ここに返済開始5年後60回目で500万円の繰り上げ返済をした場合を考えてみましょう。

 期間短縮型を選んだ場合は、元金と利息の総返済額は4091万円となり、462万円安くなります。返済期間も30年間360回返済から、借入れから23年と8カ月で完済でき、6年と3カ月返済期間を短縮することができます。期間短縮型なので1回の返済額は12万6481円で変わりません。

 返済額軽減型を選んだ場合は、月々の返済額が元の12万6481円から10万2770円に減り、総返済額は211万円ほど安くなって4342万円になります。

 また、繰り上げ返済する金額が同じでも、返済時期によって効果が違います。先ほどと同じ条件で返済開始20年後240回目に、それまではボーナス返済などせずに返済していたとしましょう。そうすると、そのときのローン残高は1319万円になっています。

 そこに先ほどと同じく500万円を期間短縮型で繰り上げ返済してみましょう。そうすると総返済額は4419万円と、先ほどの「残り返済期間30年、期間短縮型繰り上げ返済」のケースに比べると400万円高くなります。同じ金額を繰り上げ返済する場合でも、早く行なうほど利息軽減効果が高いのです。ちなみこの場合は、借入れから25年と10カ月で完済でき、4年と2カ月返済期間を短縮することができます。

ローンの基本は、低金利で借りて長期で返すこと

 このように、繰り上げ返済を使えば利息を減らせてお得になる可能性がありますが、やりすぎには注意が必要です。

 もし、あなたや家族が大きな病気や怪我をして治療費が必要になったら、海外留学など子どもの教育費が想定以上にかかってしまったら、車や複数の電化製品の買い換え時期が重なってしまったら……余裕のある返済プランを組んでいたとしても、いつ急な出費があるかわかりません。

 繰り返しお話しているように、家計を安定させるためには、低金利で借りて長期で返すのが基本です。ある程度まとまったお金を手元に置いておき、将来に向けて月々の貯金もする。繰り上げ返済をするのは、それからでもいいはずです。

 繰り上げ返済をするなら、期間短縮型と返済額軽減型のどちらを利用するか、そもそも繰り上げ返済をしてもよい状況なのかどうか。返済プラン、家計、貯蓄など、人によって状況は違うものです。ご自身のケースを考えて、賢く繰り上げ返済を使いたいところです。

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