住まいのノウハウ講義 / 住宅ローン / 借り方、返し方

ケース別、住宅ローンの考え方(9)

繰り上げ返済をするベストなタイミングとは?

2016/02/26 牧野寿和

現在のような低金利時代には繰り上げ返済をするメリットはほとんどありません。繰上げ返済をするよりも、将来の収入減少リスクに備えて貯蓄と運用で手元資金を増やしておきましょう。繰り上げ返済をするなら教育費の支払いが終わり、老後資金のメドが立った後をおすすめします。

固定金利型の長期返済プランがおすすめ

 29歳会社員のMさんは、同じ歳の妻と3歳の子どもとの3人暮らしです。妻は、子どもが小学校を卒業するタイミングで再就職したいと考えているそうです。

 将来、夫婦共働きになるなら、家計に余裕が出てくると考えられます。ただし、このご時世では必ず希望通りのタイミングで再就職できるとは限りませんし、どれくらい収入が増えるかもわかりません。仮に再就職まで時間がかかってしまったら…と考えると、子どもの小学校卒業に合わせて返済額を増やすプランを組むのは、やはり不安です。

 一方で、「全期間固定金利型の金利タイプで長期にわたって返済していくと総返済額が膨らんでしまう。できるだけ早くローンを返したい」とMさんご夫婦は考えています。こうした悩みには、どのように対応していけばよいでしょうか。

 将来の収入が増えそうだけど、確実とはいえない場合、現在の収入のままでも余裕を持って支払えるように、固定金利型の長期返済のプランで借りておくのがすすめです。

繰り上げ返済するよりも将来のリスクに備える

 総返済額を抑えたいという気持ちはよくわかります。特に、期間短縮型の繰り上げ返済をすれば、利息を軽減する効果が大きく、総返済額は少なくなります。ほかの項目でも触れていますが、繰り上げ返済は早い時期に行なえば行なうほど、利息の減りが大きくなります。

 ただし、現在のような歴史的な低金利のときには、繰上げ返済をするメリットはほとんどありません。むしろ、将来の収入が減少するリスクにそなえて、手元に残った資金を繰上げ返済ではなく、貯蓄や運用に回すべきでしょう。

定年退職後もローンが残ってしまう場合は…

 Mさんは29歳ですから、35年でローンを組んでも定年退職までには返済を終えられると思われます。現在の低金利の恩恵を活かすには、住宅ローンの支払いはできるだけ抑えておいて、教育費の用意はもちろん、老後資金についても準備を進めておきましょう。

 もし年齢の問題から、繰上げ返済をしないと定年退職までに返済ができない場合には、教育費の支払いが終わり、老後の資金にもメドが立った時点で繰上げ返済をすることをおすすめします。それまでに貯蓄と運用で手元の資金をできるだけ増やしておきましょう。

 なお、金融機関やプランによっては、繰り上げ返済するための手数料がかかります。どうしても繰上げ返済をした場合には、繰り上げ返済で減らせる利息の金額と、手数料の金額を比較して、繰り上げ返済を行なうかどうか決めましょう。繰上げ返済の手数料のかからない住宅ローンもあるので、そういった商品を選んでおくのがよいと思います。

 また、繰り上げ返済できる最低金額(フラット35の場合は100万円以上から)が設定されていることもありますので確認しておきましょう。

 そのほか、期間短縮型の繰り上げ返済で、返済期間が残り10年をきってしまうとローン減税の対象外になりますので、その点も覚えておきましょう。

<< 前の記事 次の記事 >>

講師に感想や読みたい記事のリクエストを伝えよう

注目の講師

住まいの大学 書籍のご案内