住まいのノウハウ講義 / 売る / 契約と物件引渡しの注意点

「できるだけ安くしてほしい」に応じる必要はなし

自宅の売却で値下げ交渉をされたらどうする?

2016/01/04 高橋正典

内覧が何回か終了して、その中から「物件を買いたい」という人が現れると、売り主に対して「不動産購入申込書」を提出することになります。ここから本格的な売買交渉が行われます。

価格交渉は購入申込書からスタート

 不動産購入申込書には統一された書式はありませんが、そこに書かれている内容によって不動産仲介会社や買い主の購入意欲が伝わってくるものです。必要最低限の項目(買い主の氏名・住所・購入条件)だけではなく、勤務先や年収、資金計画や予定している借入先などが書かれている購入申込書には買い主の本気度が表れています。

(例1) 簡素な購入申込書の記入欄
購入価格・支払方法、購入条件、契約予定日、物件の表示、購入申込者(名前・住所)他

(例2) 本気度が高い購入申込書の記入欄
購入申込者及び共有者(名前・住所・生年月日・勤務先・年収)、資金計画(自己資金・住宅ローンなど)、借入先予定(金融機関・融資額・返済期間など)他

 この購入申込書が届く前に「どれくらい値下げできるか」を問い合わせてくる不動産仲介会社もいますが、相手に購入の意思があるのかないのかわからないのに価格交渉に応じる必要はありません。あくまで、購入申込書が届いてから正式な価格交渉がスタートします。

 この購入申込書は契約書ではありません。購入の意思を伝えるものなので、売り主が受託したとしても買い主の都合で撤回できます。契約書ではないので、購入申込書が撤回されたからといって、買い主に対して何らかのペナルティを課せるものではないことを覚えておきましょう。

 購入申込書が届くと、「やった!売れた!」と思ってしまいますが、売買契約を結ばない限り正式な交渉成立には至っていないことを認識し、慎重に事を進めていかなければなりません。

 そこでもっとも慎重になりたいのは、購入申込書に書かれている価格の受け入れです。その価格が希望価格と同額の場合はいいのですが、希望価格より安い場合に受け入れてしまうと、不動産仲介会社は「その価格までは下げても大丈夫なのか」と判断します。そして、もしその購入申込書が撤回されたとして別の希望者が現れた時にも「この価格まで下げられそうですよ」と勝手に進めてしまう可能性があるからです。

根拠のない価格交渉には応じない

 価格交渉では、数十万円の軽い感じのカットもあれば、何百万もの値下げ要求もあります。買い主側の「できるだけ安くしてほしい……」という根拠のない値下げ要求には応じる必要はありません。事前に設定しておいた適正価格になるまで押し戻しましょう。

 というのも、根拠もなく大幅な値下げ交渉をしてくる申込者は、冷やかし半分で購入申込書を提出してきたと考えられるからです。冷やかし半分の申込者相手に真剣に取り合う必要はないので、きっぱり断ってしまいましょう。

 また、買い主側の不動産仲介会社がきちんとした会社かどうかを見極めることも大切です。きちんとした会社であれば、最低限のことしか書かれていない簡素な購入申込書ではなく、買い主の勤務先や資金計画などが詳細に書かれた購入申込書を提出してくるはずです。

 簡素な購入申込書が届いた時には注意が必要です。買い主側の不動産会社がいい加減な会社である可能性が高いので、あなたが売却を依頼している不動産仲介会社に調べてもらったほうがよいでしょう。

 とはいえ、あなたが売却を依頼した不動産仲介会社がきちんとしていれば、そもそも簡素な購入申込書が届いた時点で、相手の不動産仲介会社を疑うはずです。

 このように、価格交渉は購入申込書が届いたところからスタートします。あなたの希望価格が購入申込書に書かれていた場合を除き、価格を下げる購入申込書を受け入れる時には今後の資金計画なども熟考しながら判断しましょう。購入申込書の受け入れにより最終売買価格が決まりますので、慎重に決めてください。

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