住まいのノウハウ講義 / 売る / 不動産売却の基本

希望価格のほかにもいろいろな条件がある

自宅売却で買い主との条件交渉はこうする

2016/01/04 高橋正典

買い主が中古住宅の購入の意思を示す「不動産購入申込書」には、希望価格のほかにもさまざまな条件が書かれています。その条件の内容を確認し、納得できないものは条件交渉を行わなければなりません。このタイミングが、売り主が買い主に条件を提示できる唯一の機会になります。

手付金・引き渡し日など大事な条件をチェック

 ここからは、購入申込書に書かれていることが多い希望条件を紹介していきます。

 まずは手付金です。これは、売買契約を結ぶ時に買い主が売り主に渡す、売買代金の一部に当たるものです。売買契約の次の段階となる売却物件の引き渡し時に残りのお金を受け取ることになります。

 かつての手付金は売買代金の1割程度と言われていましたが、最近は1割も入れる例は少なく、売買代金に合わせて100万円・200万円など切りのいい数字になっているようです。

 売買契約の後でも契約の破棄は可能です。この時、買い主都合の場合は「手付金の放棄」、売り主都合の場合は「手付金を倍にして返却(手付倍返し)」という条件で契約破棄となります。そのため、手付金が少ないほど両者にとってその契約は不安定なものになってしまいますので、手付金の条件が少なすぎる場合には一定額を入れてもらえるよう不動産仲介会社に伝えましょう。

 次に引き渡し日ですが、一般的には売買契約から1~3カ月以内に引き渡しされるのが一般的です。売り主としてはできる限り買い主の要望に応えてあげればいいのですが、契約から引き渡しまでの期間が長すぎる場合は注意しましょう。その間に買い主の気持ちが変わり、契約を破棄されてしまう可能性があるからです。その場合、手付金を多めに要求しておくこともひとつの手段になります。

 そして、買い主から「インスペクション(専門家による建物診断)をやりたい」という要求があった時は、売り主がすでに実施していれば問題は出てこないはずなので要望に応じましょう。もし、同時に購入申込がありインスペクションの有無以外はほぼ同じ条件だとすれば、素直にインスペクションなしという買い主を選ぶという選択肢もあります。

多くの場合「住宅ローン特約」がついてくる

 個人の買い主の場合、現金一括という場合はほとんどなく、住宅ローンを使って購入することが多くなります。そこでついてくるのが「住宅ローン特約」。売買契約後に万が一住宅ローンの審査に落ちてしまった場合、契約を白紙撤回するという条項です。

 これは一般的な条項ではありますが、売り主にはリスクがあります。買い主が住宅ローンの審査を受けている間(普通は売り主が買い主に3週間の猶予を認めます)は販売活動がストップしてしまうからです。もし住宅ローンが通らなければ、3週間がムダになってしまいます。

 そのムダを事前に防ぐのが、購入申込書に書かれた買い主の収入・資金計画からの推測です。売買代金に対して年収が低く、借入金が多い場合などは審査に通りづらいと判断できます。そのような場合は事前審査(通常2〜3日で可否が出ます)をお願いし、その結果により契約を結べばいいのです。

時間を要する条項が入っていることも

 引き渡し後の一定期間内(1~6カ月が一般的で3カ月とすることが多い)に、買い主が知りえなかった瑕疵(欠陥)が発生した場合、売り主が修理するという取り決めが「瑕疵担保責任」です。どのような場合が対象になるのかは「物件状況報告書」という建物の状況を示した書類によって変わりますが、「瑕疵保険」の加入もトラブルを防ぐひとつの方法です。瑕疵があったとしても保険で対応できれば、売り主も買い主も安心できます。

 また、一戸建て限定ですが、売買契約にあたり測量の実施や境界の明示を要求されます。土地には隣地との境界線があるのですが、あいまいになっていることが多いのでこれを機会に明確にしようとするものです。そして、売り主の費用負担で家を壊してから引き渡してほしいという場合もあります。

 これは更地渡しというものですが、もし更地にしたあとに契約が破棄になってしまうとただ単に家を壊しただけになってしまいます。ですので、更地渡しを認める場合は、住宅ローン審査が通った後などタイミングに注意しましょう。

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