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住宅取得資金の贈与を賢く受ける方法(3/6)

親が「子の名義」でした貯金は贈与にあたるのか?

2016/01/31 土屋裕昭

親が子のために「子ども名義」で預金を続け、子が住宅を取得するときの支援として資金提供するケースがあります。名義が子になっているので問題がなさそうですが、実はこのパターンが税務署とのトラブルになりやすいのです。

子ども名義の預金は誰のものなのか?

 子の名義の預金ですから、単純に考えれば子のもののように思います。実際、贈与税がかからない範囲(1年間で110万円)で親が積み立ててきたお金を、子が住宅取得の際に自己資金にするというのはめずらしい話ではありません。

 しかし、「贈与」とは、贈与する側と贈与される側がお互いに了解して成立するものなので、贈与する側が一方的に行なっているもの、つまり、贈与される側が本当に贈与を受けていたのかが問題になります。

 たとえば、親が子のために毎年100万円ずつを子が名義の口座に10年間振り込んでいたとします。合計で1000万円となり、子がマイホームを購入するというので使ってもらおうと思っています。

 ここで税務署の横やりが入ります。税務署は以下のようなことを確認してきます。

●贈与される側(子)は自由にお金を使える状態だったのか
●通帳・印鑑も子が保管していたのか

 このふたつの質問に「いいえ」と答えた場合、つまり、子は自分の名義の口座に親が預金していることを知らず、当然ながら通帳・印鑑は親が保管していたために自由に使えなかったとなると、これは法律上、贈与契約があったとはいえなくなります。

 つまり、親が「あげました」、子が「もらいました」ということが贈与ですので、毎年贈与が行なわれていたというのは実態と程遠いと判断されてしまいます。結果的に、子の住宅取得時に親が1000万円を一度に贈与したとみなされ、贈与税をしっかり納付せざるをえなくなってしまうのです。

 このようなトラブルを避けるためには、素直にこの1000万円は親のものだと認め、「住宅取得等資金の贈与税の非課税」もしくは「住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例」を利用することで、贈与税の対象から逃れる方法を活用します。

子どもの将来のための贈与を行うには

 このように、親が子を思う一心で、贈与税のかからない(と思っている)範囲で毎年積み立ててきたものの、税務署から「これは一度に贈与されるものと認定するので、贈与税の課税対象となります」といわれてしまうことがないようにするためにはどうすれば良いのでしょうか?

 税務署とのトラブルを避けるために必要なこと、それは証拠をしっかり残しておくということです。毎年、100万円ずつ子の名義の口座に振り込みを続けるとしたら、その振り込みを行なった日付で贈与契約書を作成しておけば、その都度贈与が行なわれたと税務署は判断せざるを得ません。

 贈与が行なわれた証拠として、「贈与を受ける側(子)の名義の口座にお金を振り込む」ことと、贈与する側・される側双方がこの事実を知っていたことを示すために「贈与契約書を作成(お互いの署名・捺印が必要)し、その日付(振り込み日と同じ日が望ましい)を記載する」ことが必要になります。

 このような作業を経て、無事、子がマイホームを建てるときの資金援助ができるというわけです。

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