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自宅を失ってローンだけが残ることも

もしも住宅ローンの返済ができなくなったら

小島淳一小島淳一

2016/01/04

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「もしも」の場合について知っておこう

 家計の把握、教育費などの予測、老後資金の確保など、さまざまな面から何度もしっかり検討し、最適と思われる返済計画を立てた場合でも、不測の事態は起こりえます。もし思いがけない事態が重なって、住宅ローンを支払えなくなったとしたら、一体どんなことになってしまうのでしょうか。

 そんな事態は起こらないのがいちばんなのですが、事前の知識として、知っておいて損はありません。この項目では、そういった「もしも」のケースをシミュレーションしていきましょう。

保証会社による代位弁済とは?

家計の事情などによって、その月の住宅ローン返済を支払えなかった場合、もちろん支払いが免除されることはなく、後からまとめて支払うことになります。返済の延滞が数カ月続くと、金融機関によってはキャンペーンなどによる金利の優遇が適用されなくなって金利が上がってしまったり、一括返済を請求されたりします。

 それでも金融機関への返済ができなかった場合は、保証会社が代位弁済を行ないます。ここでの代位弁済とは、住宅ローンを借りた本人に代わって保証会社がローンを返済することをいいます。といっても借金がなくなるわけではなく、住宅ローンを借りた本人は、保証会社に一括返済をしなければなりません。それもできない場合、最終的に物件は競売にかけられてしまいます。つまり、せっかく住宅ローンを組んで購入した自宅を手放さなければならなくなってしまうのです。

 住宅ローンでは、購入した物件に抵当権が設定されます。これがどういうことかというと、このケースのようにローンの返済が滞ってしまった場合は、金融機関側が物件を競売にかけることができるということです。金融機関は物件を売却して得た代金を、住宅ローンの返済にあてるのです。

任意売却して代金を返済にあてるケースもある

また、競売のほかに、債務者(マイホームの持ち主)が自分の意思で物件を売却する「任意売却」という仕組みもあります。任意売却の場合は、不動産会社などを通して債務者が物件を売却し、その代金をローン返済にあてることができます。

住宅ローンの返済ができなくなったことが判明した時点で、自分から不動産会社と相談しながら売却先を探すのもひとつの方法です。

ただし、競売にしても任意売却にしても、買ったときの値段で売れることはほぼないと覚悟しておいたほうがよいでしょう。立地など、よほどの好条件があるような場合は別ですが、希望した売却金額を下回ってしまうケースのほうが圧倒的に多いのが現実です。

任意売却する際は、複数の不動産会社に相談して、なるべくよい条件での売却を目指すことになります。

また、売却額が極端に低すぎる場合は金融機関が売却を認めないこともあります。任意売却を検討している人は、不動産会社に相談すると同時に、金融機関にもその意思を伝えておきましょう。

また、最悪の場合、物件を売却しても、その代金が住宅ローンの残高より低いこともあります。その場合は、ローンだけが残るということになってしまいます。当然、残りの金額を返済する方法を考えなくてはなりません。

そのような事態に陥る前に、金融機関と条件変更や借り換えについて話し合い、交渉していきましょう。

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この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)、相続診断士

1970年生まれ。神奈川県海老名市出身。 早稲田大学商学部を卒業後、93年、「海賊とよばれた男」の出光興産株式会社に入社。特約店経営改善計画からマーケティング・SS現場の増客増販まで一連のガソリンスタンド事業に携わる。福島県山間部での集客イベントでは3日間でガソリン10万ℓを売上、全国優秀店表彰へ導く。 その後、2000年にヘッドハンティングされソニー生命に入社。社内表彰やMDRTに連続入会、営業職最高位エグゼクティブライフプランナーに認定される。 現在は、金融機関に属さない独立系FP会社:ライフワーク株式会社の代表として、リスクマネジメントコンサルティングを中心に、各種セミナー講師として活躍中。

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