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契約の結び方とチェックポイント(2/2)

リフォームの契約書に捺印する前に確認しておきたいこと

森田祥範森田祥範

2016/03/21

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契約書をもう一度チェックする

契約書に署名・捺印した時点で、注文者であるあなたと工事業者の間で、リフォーム工事請負契約が成立します。

そのリフォーム業者の営業方法が、いわゆる訪問販売だったのでなければ、その後、クーリングオフは適用されません。つまり、もう後戻りできないことになります。リフォーム工事に関して、「やっぱりもう一度考えたい」などと、あなた側の事情で契約を解除すると、業者に違約金を支払わなければならなくなるのです。

そんな事態に陥らないために、契約書への署名・捺印を前に、この工事請負契約で本当にいいのか、最終的なチェックを行ないます。

その際に必要なのは、それより以前に受け取っているはずの見積書です。見積書と契約書を並べて、以下の点を確認しましょう。

・業者名とその住所に間違いはないか。
・工事代金や消費税の金額に間違いはないか。
・工事期間が正確かつ明確に書かれているか。
・代金の支払い方法が事前に打ち合わせた内容に沿っているか。

上記の項目で、ときにトラブルの種になりやすいのが工事期間です。リフォーム業者によっては、工事の完了時期を空欄のままにしてあったり、「○月○日ごろまで」などと曖昧な表記をしているケースがあり、工事完了をずるずると先延ばしにされてしまう危険があります。その結果、工事がいつまでも完了しなかったり、工期が延びた分の追加料金を請求される場合があるのです。

請負契約約款に目を通しておく

しっかりしたリフォーム業者であれば、工事請負契約書に、請負契約約款が添付されているはず。

約款とは、その契約に関して決められた数々の条項をまとめたものです。約款は、きわめて細かい字で書かれていて、読むのに苦労しますが、条項数はそれほど多くないので、かならず一度は目を通しておいてください。

約款にはおそらく、以下のような事柄が書かれているはずです。

(打ち合わせどおりの工事が困難な場合)
 第2条 施工にあたり、通常の事前調査では予測不可能な状況により、打ち合わせどおりの施工が不可能、もしくは不適切な場合は、注文者と請負者が協議して、実情に適するように内容を変更する。
 2項 前項において、工期、請負代金を変更する必要があるときは、注文者と請負者が協議して、これを定める。

これはたとえば、「床をはがしてみたら、予想以上に土台の腐食が進んでいた」など、実際に施工してみないとわからない事態に直面したときの対処法について書かれており、その場合は請負者が独断で勝手に工事を進めるのではなく、施主と施工方法の変更や工期・代金の変更について協議しながら進める旨が書かれています。

(第三者への損害および第三者との紛議)
 第7条 施工のため、第三者に損害を及ぼしたとき、または紛議が生じたときは、注文者と請負者が協力して処理解決にあたる。
 2項 前項に要した費用は、請負者の責に帰する事由によって生じたものについては、請負者の負担とする。なお、注文者の責に帰する事由によって生じたものについては、注文者の負担とする。
 
これはたとえば、「施工業者が誤って隣家の車やブロック塀などを傷つけてしまった場合は、業者が施主と相談したうえで隣家に謝罪に行き、隣家の損害を業者が弁償する」といった意味に解せます。

(瑕疵がある場合の責任)
 第9条 目的物に瑕疵がある場合、請負者は民法に定める責任を負う。

これは、目的物=リフォーム工事に、瑕疵=ミスや欠陥がある場合は、民法634〜640条の規定により、業者が補修したり、損害賠償したりすることを意味します。つまり、工事内容を業者が保証する、という意味です。

(工事の変更、一時中止、工期の変更)
 第10条 注文者は、必要によって工事を追加、変更または一時中止することができる。
 2項 前項により、請負者に損害を及ぼしたときは、請負者は注文者に対してその補償を求めることができる。
 3項 請負者は、不可抗力その他正当な理由があるときは、注文者に対してその理由を明示して、工期の延長を求めることができる。延長日数は、注文者と請負者が協議して決める。

この条項の1項2項では、施主は必要に応じて追加工事をお願いしたり、工事内容の変更や一時中止をすることができるが、その結果、施工業者側に不利益が生じた場合は施主が保障する、という意味のことが書かれています。また3項は、台風の襲来など正当な理由があるとき、業者は工期延長を求めることができる、ということです。

上記のとおり、請負契約約款には、きわめて重要な内容が書かれています。リフォーム契約を締結する場合は、契約書および約款を郵送などで事前に受け取り、契約前に精読しておくことが大切です。

トラブルの相談やクーリングオフについての窓口

 全国各地に相談窓口が設けられていますので、不安や不信に思ったら迷わずに相談してみてください。もちろん無料です。

◎消費者ホットライン 
188(いやや)
日本全国の消費生活相談窓口をご案内します。

◎国民生活センターhttp://www.kokusen.go.jp
 
各地の相談窓口がお昼休み中の場合は下記もご利用ください。

お昼の消費生活相談03-3446-0999(平日11:00~13:00)
http://www.kokusen.go.jp/soudan/        

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この記事を書いた人

モリタマネジメント株式会社 代表取締役

宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、ファイナンシャルプランナー、増改築相談員、二級建築施工管理技士。 LATUバリ建築スクール(インドネシア、バリ)ディプロマ取得。 1952年生まれ 兵庫県出身。早稲田大学卒業後、積水ハウス株式会社に入社、特建事業部(ゼネコン部隊)に配属。主に土地所有者の土地有効利用を中心とした営業に18年間従事する。また自社集客手法の独自企画や金融機関等のセミナー講師も務めて実績をあげる。 在籍期間の完工実績棟数は387棟。全国特建事業部表彰(特建営業300人中1位)、社長表彰(全社営業3800人中2位)、全社チーム別獲得粗利益表彰(全社全900チーム中1位)などの記録多数。退職するまでプレーイングマネージャーにこだわり続けた。 94年に建築リフォーム会社を設立し、現在まで22年間でテナントビル・マンション、店舗、住宅などのリフォーム工事を中心に約4000件余を完工。不動産の事業化プランニング、賃貸収益物件 (テナントビル、マンション)や店舗の収益最大化手法には定評があり、不動産オーナーの熱烈なファンが多い。 2009年、中小企業コンサルを目指して「ナニワの再建屋」桂幹人の門をたたき薫陶を受ける。桂幹人の実践的コンサルティングと自らの経験とを融合させた「モリタメソッド」を完成した。11年、多くの事業家を実践指導し、新たな事業を創る実践コンサルティングを開始、賃貸ビル・マンションオーナーの満室セミナー、工務店の脱下請け事業構築セミナー、中小企業経営者の新規事業構築勉強会(実践的指導)主催。また経営者、営業幹部の個別コンサルティングも行なっている。 指導先業種は、建設業、工務店、リフォーム会社、鉄工所、内装業、建設資材問屋、自動車輸出入業、子ども服セレクトショップメーカー、自費診療専門整体院チェーン、ブライダルを手がける呉服店、ヒーリングサロン、多店舗展開の美容室、大阪黒門市場マグロ専門店、デザイン事務所の新規事業支援等多岐にわたる。

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