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住宅ローンの賢い返済方法(9)

住宅ローンの借り換えをしていい人、ダメな人

牧野寿和牧野寿和

2016/01/04

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高い金利で借りている人は要チェック

 住宅の購入に当たって、ほとんどの人は住宅ローンの仕組みをよく調べ、いくつもの金融機関を比べて住宅ローンを組むはずです。

「借り換えなんて、事前によく考えなかった人が返済プランを修正するために慌てて行なうものでは?」と考える人もいるかもしれませんが、そうではありません。金利は常に変化し続けますし、毎年毎年、住宅ローン商品はめまぐるしく変わっているのです。

 では、どういう人が借り換えをするべきなのでしょうか。

 まず、旧住宅金融公庫などで長期の固定金利型の住宅ローンを借りている人は要チェックです。金利が低くなったといわれ始めたのは90年代後半頃ですが、現在はさらに低くなり、過去最低クラスの金利(2015年現在)となっています。公的な金融機関同士でも10年前と現在を比べると、決して小さくない金利差があります。

 10年というと、金利の割引などの優遇を受けていた場合は割引幅が小さくなったり、優遇期間が終了したりするタイミングでもあるので、現在適用されている金利と借り換えで新規のローンを組んだ際の金利とで差が出やすいといえます。

借り換えでローン返済のリスクを減らす

 また、住宅ローンに必要なのは有利な返済プランを組むことだけではありません。もし、あまり金利差がなくて「借り換えに必要な諸費用」が「借り入れによる利息軽減」より大きければ、金銭的には楽になるどころか負担が増えることになります。しかし、ローン返済のリスクを減らすための借り換えも十分選択肢になります。

 リスクを減らす借り換えの例といえば最初に思い浮かぶのが、変動金利型から固定金利型への変更です。

 金利タイプについて勉強している人ならご存知かもしれませんが、変動金利型から固定金利型への切り替えをするだけなら、わざわざ借り換えをしなくてもできます。

 しかし、ローン商品のなかには、借入期間の長さによって異なる金利が設定されているものがあります。借入期間21年以上と20年以下で金利が異なるフラット35などがそうです。借り換えをすればこういった「条件を満たしていれば優遇を受けられるローン商品」を利用するチャンスをつくれるのです。

 変動金利型は固定金利型より金利が低いことが多いですが、金利の上がり幅を抑えつつ安心感のあるローンに変更できるなら、借り換えを考える価値はあるでしょう。

借り換えによって返済期間や返済額の見直しを

借り換えによって、返済期間や返済額の見直しをすることもできます。低い金利の商品に借り換えることで、少なくなる利息分を毎月の返済額から減額したり、返済額を変えずに返済を続けることで返済期間を短縮したりすることができます。また、低金利の恩恵を受けるために長期の固定金利型に借り換えて家計を安定させることもできます。

 上記のようなケースに当てはまらず、固定金利型で十分に安い金利のローンを組めている人や、そもそもローンの残高が少なくて金利差による利息軽減効果が見込めない人などは、借り換えのメリットは少ないといえます。

 借り換えは誰かがすすめてくれるようなものではないので、自分で考えて行動しなくてはいけません。しかし金利の具体的な計算や、必要な手数料の算出は簡単なものではありません。借り換えを考えたり、相談したりするだけなら費用は必要ありません。自分が借り換えをすべきだと感じたら、まず金融機関に相談に行くのもいいでしょう。

借り換えを実行する前に金機関と交渉を

 最後に借り換えをすると決めたら、必ずやるべきことがあります。それは、金利の交渉です。

 まず、借り換えをしようとしている金融機関には、店頭やパンフレットに記載されている金利よりさらに低くなるように交渉してみてください。また現在返済をしている金融機関には、他の金融機関に借り換えをしようという意思を伝え、現在の金利を引き下げる交渉をしてみてください。

 もし、あなたが、現在返済中のローンで滞納をしたことがなければ、「借りたものは必ず返す」という金融機関では一番大切にしている「信用」とう武器をあなたは持っているのです。その武器を使って一度独自の金利値下げにチャレンジしてみてください。

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この記事を書いた人

CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士

1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。

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