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融資を受ける際にチェックされる7つの項目

事前審査、本審査とは? 住宅ローンの審査ではどんな内容がチェックされるのか?

小島淳一小島淳一

2016/01/04

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審査は仮審査と本審査の2回ある

住宅ローンの申し込みをすると、融資を受けられるかどうか、金融機関や信用保証会社などの審査を受けることになります。詳細な審査の内容はそれぞれですが、多くの審査で重視している項目がいくつかあります。特に収入や勤続年数など、返済能力に関わるものは、融資を行なってもよいかどうか、さまざまな角度から審査されるようです。

それでは、実際の審査ではどのようなことが行なわれるのでしょうか。

民間住宅ローンの多くは、金融機関が行なう事前審査(仮審査)と、その金融機関が提携している信用保証会社が行なう本審査の2回で審査されます。

金融機関は金利を取ることで利益を得ますから、できるだけ貸したいというのが本音です。そのため、事前審査は比較的通りやすいといえます。一方、本審査を行なう信用保証会社は返済が滞った際に、ローンを肩代わりしなければなりませんので、当然、審査は厳しくなります。

そのため、事前審査の段階で決裁(承認)されたとしても、本審査では否認されたり、返済期間の変更や借入金の減額を求められたりすることもあります。また、連帯保証人追加や、他の借入金の返済した上で、といった条件付きの決裁となることもあります。

審査の項目はどんなものがあるのか

実際の審査で重視されるのは次のような項目です。


(1)返済負担率
返済負担率とは、年収に占める返済額の割合のことで、金融機関がその人にいくらまで融資できるかを判断する基準のひとつです。

返済負担率(%)は、「年間のローン総返済額÷税込年収×100」で求めることができます。申し込んだ住宅ローンの他に借入金があった場合は、それも年間返済額に入れて計算します。

返済負担率が大きすぎると、ローンの負担が重いと判断されます。当然、返済が滞る可能性が高くなりますから、返済負担率には上限が決められています。融資できる返済負担率の上限は、その人の年収や金融機関によって違いますが、目安としては、年収300万円以下なら25~35%以下に設定しているところが多いようです。


(2)完済時の年齢
住宅ローンにはそれぞれ、完済時の年齢が70~80歳頃に設定されています。事前に確認しておきましょう。


(3)勤続年数、勤務形態
勤続年数は2~3年以上必要です。短期間で転職を何度もしている人は、住宅ローンを借りられない場合もあります。とはいえ業種や職種、明確な個別の事情などによっては審査に影響がないこともあります。

また、勤務形態は正社員であることを前提としていますが、契約社員や派遣社員でも定期的な収入があれば承認される場合があります。


(4)健康状態
民間の住宅ローンを利用するには、団体信用生命保険に加入できる健康状態であることが必要です(【フラット35】は付保しないこともできます)。


(5)事業内容(経営者や自営業者の場合)
経営者や自営業者の場合、事業の内容が審査されます。3期分の決算書や確定申告書は必須です。


(6)購入する物件(中古住宅の場合は時間がかかることも)
物件はローンの担保になるので、どれくらいの資産価値があるのかが審査されます。


(7)その他の借入金の状況
個人の借入申し込み状況、借入残高、返済状況や延滞情報などは、個人信用情報機関で共有されています。キャッシングやカードローンは特に慎重に検討されるようです。

もしも審査に落ちてしまったら?

審査に落ちた場合でも、その理由については教えてもらえないのが普通です。もし落ちてしまった場合には、まずは、個人信用情報機関に問い合わせることをおすすめします。

金融機関は融資しても大丈夫かどうかを判断するため、過去のローン情報を入手します。その照会を行なうのが個人信用情報機関で、下記の3つがあります。

1.株式会社シー・アイ・シー(CIC)
2.株式会社日本信用情報機構(JIC)
3.全国銀行個人信用情報センター(KSC)


まずはここに問い合わせて、ご自分の借入状況や事故歴(返済の延滞や滞納)がないかを確認してみてください。審査に落ちた場合は、返済負担率がオーバーしているか、個人信用にキズがある場合がほとんどです。滞納や延滞があった場合にはすぐに返済しましょう。

ここで注意が必要なのは、融資の申し込みと審査に落ちたことも信用情報の履歴として残るということです。この履歴が修復されるまで、だいたい6カ月ほどかかります。逆に言えば、6カ月経過すれば履歴が消えるということなので、その後再度、審査のチャレンジをされることをおすすめします。

なお、個人信用情報機関に問い合わせる方法は、ご自分で足を運ぶか、郵送、ネットで入手する方法があります。

また、金融機関によって審査の基準には差があるので、ある金融機関の審査が通らなかった人でも、他の金融機関に相談すれば融資を受けられるかもしれません。再度、チャレンジする場合には、金融機関を変えてみるのもひとつの手といえます。

審査にかかる時間ですが、事前審査では、新築物件の場合は1週間以内に終わるケースが多いですが、中古物件の場合はもう少し長くなる可能性があります。また、本審査では、事前審査以上に厳しく審査が行なわれるため、1カ月近くかかることもあります。

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この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)、相続診断士

1970年生まれ。神奈川県海老名市出身。 早稲田大学商学部を卒業後、93年、「海賊とよばれた男」の出光興産株式会社に入社。特約店経営改善計画からマーケティング・SS現場の増客増販まで一連のガソリンスタンド事業に携わる。福島県山間部での集客イベントでは3日間でガソリン10万ℓを売上、全国優秀店表彰へ導く。 その後、2000年にヘッドハンティングされソニー生命に入社。社内表彰やMDRTに連続入会、営業職最高位エグゼクティブライフプランナーに認定される。 現在は、金融機関に属さない独立系FP会社:ライフワーク株式会社の代表として、リスクマネジメントコンサルティングを中心に、各種セミナー講師として活躍中。

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