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保険や引っ越しの手続きはどうする?

売却した自宅を引き渡すときの注意点(売り主編)

高橋正典高橋正典

2016/01/04

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引っ越しはどのタイミングで済ませておくべきか

 一般的に、売買契約を交わした後に引き渡し日までに買い主による最終物件確認の立ち会い日を設定しますが、売り主はこの時までに引っ越しをすませておかなければなりません。

 目安となるのは、引き渡しの1週間前までには引っ越しておくのが普通です。3月など、引っ越しが多いシーズンにぶつかってしまう場合は、早めに引っ越し業者の手配を済ませておきましょう。その際、付帯設備表の内容通りに残しておく設備を引き継げるよう確認を忘れずに。

 また、単に引っ越すだけではなく簡単な清掃はしておきたいものです。業者にルームクリーニングを頼む必要まではありませんが、これまで住んできた家に感謝の気持ちを込めて、そしてこれから住む買い主との縁に感謝しながら掃除をすれば、引き継ぎも気持ちよいものになると思います。

 火災保険に加入している人は、引き渡し当日までは加入しておきましょう。なかには売却を決めて、仮住まいに引っ越した後すぐに解約してしまう人もいるようですが、これは非常に危険な行為です。というのも、引き渡しまでに火災が発生した場合、誰も保証してくれないので、保険金はおりないことはもちろん、最悪の場合家がないのに住宅ローンだけが残ることも考えられます。

 もし売却前に引っ越しを終えてしまっても、買い主に引き渡すまでは確実に火災保険に入っておきましょう。引き渡し日には買い主に所有権が移り、火災保険に入るのが通常ではありますが、念のため引き渡し日当日に売り主の火災保険を解約することをおすすめします。

 解約する場合は、保険会社(もしくは代理店)に解約日を連絡すればOKです。火災保険は長期で加入するのが一般的ですので、途中で解約すると残り年数の火災保険料が保険会社から返金されます。

引き渡し当日の流れ

 引き渡し日には、売却代金の受け取りと住宅ローンの返済・抵当権の抹消、所有権の移転を同時に行います。

 まず買い主が住宅ローンを組む金融機関などの応接室に、買い主・売り主・両社側の不動産仲介会社・司法書士が一堂に会し、書類の確認が終わったら買い主の住宅ローンの融資実行手続きを行ないます。融資が実行されると、買い主は売買代金から手付金を引いた残額分を売り主の指定する口座に振り込みます。そして、売り主は振り込まれたお金で住宅ローンを一括返済するというのが一般的な流れになります。

 最後に、売り主が買い主に鍵を渡して、決済・引き渡しの完了です。その後、司法書士が売り主側の金融機関で抵当権の抹消に関する書類を受け取り、法務局で所有権移転登記と抵当権抹消登記を行ないます。

 このようなスケジュールは、不動産仲介会社が案内してくれるので、その通りに進めていきましょう。

固定資産税などは買い主が負担する場合もある

 引き渡し日には、売買代金以外のお金の授受も発生します。それが、固定資産税・都市計画税やマンション管理費の精算金などです。固定資産税・都市計画税は、その年の1月1日時点での所有者が1年分をまとめて納付することになっているので、日割り計算をして売り主・買い主がそれぞれ自分の所有する時間分の割合で負担するのが慣例になっています。

 たとえば10月1日が引き渡し日だとすると、1月1日から9月30日までの分は売り主が、10月1日から12月31日までの分は買い主が負担するといった具合です。

 しかし、役所が固定資産税の額を固定するのが4月以降なので、1~3月に引き渡しが行なわれたときは、正確な税額がわかりません。そのような場合は、「前年の税額を元に、若干の誤差は問わず日割り計算する方法」と「今年の税額が決まってから、正確に精算する方法」のふたつがあり、多くは前者を採用しているようです。

 とはいえ、新築物件に関しては一定期間固定資産税を減額する措置を採っている自治体が多いので、築浅物件等で、減額期間内の安い固定資産税のタイミングで売買された場合、前者の方式で安い固定資産税を計算してしまうと損をしてしまうので注意しましょう。

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この記事を書いた人

株式会社バイヤーズスタイル代表取締役

株式会社セラーズエージェント取締役。 一般社団法人 相続支援士協会 理事。 1970年、東京都中野区生まれ。売りっぱなしの単なる「物件紹介屋」と言われる日本の不動産業界の慣習を変え、生涯にわたり、より顧客に寄り添う「エージェント(代理人)ビジネス」にシフトさせるべく、株式会社バイヤーズスタイルを設立。業界で初めてすべての取扱い物件に「住宅履歴書」を導入、顧客の物件の資産価値向上を担う。一般的に売りづらいとされる、築年数の古い中古住宅の売買に精通しており、顧客から厚い信頼を得ている。 さらに、ひとつひとつの中古住宅(建物)を正しく評価し、流通させるため「売却の窓口(R)」を運営し、その加盟店は全国に広がる。 不動産流通の現場を最も知る不動産コンサルタントとして、各種メディア・媒体等においての寄稿やコラム等多数。 宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、国土交通大臣登録証明事業不動産コンサルティング技能登録者。 著書に『実家の処分で困らないために今すぐ知っておきたいこと』(かんき出版) 、『プロだけが知っている!中古住宅の魅せ方・売り方』(朝日新聞出版) 、『マイホームは、中古の戸建てを買いなさい!』(ダイヤモンド社) 、『不動産広告を読め』(東洋経済新報社)など。

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