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ケース別、住宅ローンの考え方(1)

家計に余裕あり。繰上げ返済を考えて変動金利を選んでも大丈夫?

小島淳一小島淳一

2016/02/26

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将来、家計に余裕ができそうだけど…

31歳会社員のCさんご一家。Cさんと、30歳の奥さん、5歳の子どもの3人家族です。Cさん自身は今後昇給していく見込みがあり、10年後に子どもが義務教育を終える頃には奥さんも仕事を始める予定です。

将来的に一家の収入がアップすることはほぼ確実で、家計に余裕ができそうなCさんの場合、どのような金利タイプを選ぶのがいいのでしょうか。

返済スタート時から完済するまで、返済額が変わらない全期間固定金利型なら、金利の上昇などを心配する必要もないので安心です。

たしかに、変動金利型や短期の固定期間選択型のほうが金利は低いので、これらを選択肢に入れないのはもったいないという人もいますが、現在のような超低金利時代なら、全期間固定金利型であっても低金利の恩恵を十分に受けることができます。

変動金利型や短期の固定期間選択型を選ぶことのメリットは、低金利であることです。一方、デメリットは、金利上昇によって月々の返済額が増えてしまう可能性があることです。

将来のリスクは無視できない

将来は家計に余裕ができそうだという見込みがあっても、返済額アップのリスクは大きなものです。

仮に、モデル賃金などをもとに収入の上がり幅を考えて、金利の変動によって返済額がアップした場合でも余裕を持って返済できそうだとしても大きなリスクであることに変わりはありません。

なかには、「変動金利型を選んでおいて、繰り上げ返済を利用するのが賢い住宅ローンを利用法です」とか、「繰上げ返済をすれば元金を少なくできるので、金利が上昇した時の返済額アップを小さく抑えることができます」といったセールストークを展開する金融機関もありますが、安易に信じてはいけません。

変動金利型は借り手がリスクを背負う商品ですが、全期間固定金利は金融機関がリスクを背負うため、すすめるはずがないのです。

将来、金利がどれくらい上昇するのかは誰にも予測できません。「金利上昇のリスクがあっても大丈夫」などと誰も保証することはできないのです。

また、金利上昇リスク以外にもリスクはあります。病気で働けなくなるかもしれませんし、勤務先が倒産するかもしれません。将来のリスクを軽く見積もって、楽観的な返済計画を立てることは避けましょう。

仮に金利上昇が起こらず、滞りなく返済できたとしても、住宅ローンの返済さえしていれば大丈夫というわけではありません。子どもが大きくなれば教育資金も必要になりますし、老後資金の準備も必要です。

現在のような低金利時代であれば、住宅ローンの金利より高い利回りで資金を運用することも十分可能です。住宅ローンはあくまでも長期の全期間固定金利型を選択し、家計を安定させるとともに余裕資金を有効活用することを考えましょう。

 

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この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)、相続診断士

1970年生まれ。神奈川県海老名市出身。 早稲田大学商学部を卒業後、93年、「海賊とよばれた男」の出光興産株式会社に入社。特約店経営改善計画からマーケティング・SS現場の増客増販まで一連のガソリンスタンド事業に携わる。福島県山間部での集客イベントでは3日間でガソリン10万ℓを売上、全国優秀店表彰へ導く。 その後、2000年にヘッドハンティングされソニー生命に入社。社内表彰やMDRTに連続入会、営業職最高位エグゼクティブライフプランナーに認定される。 現在は、金融機関に属さない独立系FP会社:ライフワーク株式会社の代表として、リスクマネジメントコンサルティングを中心に、各種セミナー講師として活躍中。

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