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ケース別、住宅ローンの考え方(3)

将来も大きな収入の変化はなさそう。おすすめの金利タイプは?

小島淳一小島淳一

2016/02/26

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全期間固定金利型のタイプがおすすめ

34歳自営業のEさんとその奥様。夫婦ふたりで一緒に仕事をしています。収入が大幅アップする予定は特にないですが安定しており、生活にも多少余裕があります。

Eさんのように、この先の収入にも支出にも大きな変化がないと見込まれる場合は、どの金利タイプを選ぶのがよいでしょうか?

現在は生活に余裕がありますが、収入が増えないということは、何かの事情で支出が増えた時に家計が圧迫されるということです。医療費など緊急の支出ならある程度は貯蓄をすることで対応できますが、住宅費のように長期間続く支出が大幅アップしてしまうのは避けたいところです。

このような場合は、返済のスタート時から完済時まで月々の返済額が変化しない全期間固定金利型のタイプを選ぶのが、最も安定します。

完済まで毎月同じ金利が適用されますから、たとえば「このまま毎月支払うと、6年後にはローン残高がどれくらい残っているだろう?」といったことも、自分で簡単に計算できます。住宅費が一定なら、支出の変動を少なくできるため、貯金などもしやすくなるでしょう。

変動金利の場合、総支払額がいくらになるのかわからない

「でも、いまは低金利だからという理由で変動金利型をすすめられたんですが…」とEさん。

たしかに、全期間固定金利型に比べると、現時点での金利は変動金利型のほうが低いことが多いので、金利をなるべく低く抑えたいなら、今後、金利が上昇しない可能性に賭けて、変動金利型を選ぶのもひとつの方法ではありますが、金利が上昇しないという見通しは非現実的といわざるを得ません。

将来、どれくらい金利が上昇するのかは誰にもわかりません。それに、変動金利で住宅ローンを組むということは、総支払額がわからないということです。つまり、その住宅を最終的にいくらで購入することになるのかがわからないのです。人生で一度ともいえる大きな買い物をするのに、それでいいのかよく考えて判断することをおすすめします。

変動金利型と固定金利型の組み合わせもあるけれど…

変動金利型か固定金利型かで悩んだ場合、金融機関などで相談すると、変動金利型のメリットを受けつつも、なるべくリスクを減らす方法として、全期間固定型と変動金利型を組み合わせたものをすすめられるかもしれません。

元金全体のうち、変動金利型を選んでいる部分だけに変動金利が適用されますから、今後金利が大幅に上昇し続けることがあったとしても、全期間固定金利型を選んでいる部分の返済額は変わりません。支出アップのリスクをなるべく小さくすることができます。

もし、このタイプを選択する場合でも、全期間固定金利型の割合を大きく、変動金利型の割合を小さくして、返済額が大きく変わらないようにしておきましょう。

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この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)、相続診断士

1970年生まれ。神奈川県海老名市出身。 早稲田大学商学部を卒業後、93年、「海賊とよばれた男」の出光興産株式会社に入社。特約店経営改善計画からマーケティング・SS現場の増客増販まで一連のガソリンスタンド事業に携わる。福島県山間部での集客イベントでは3日間でガソリン10万ℓを売上、全国優秀店表彰へ導く。 その後、2000年にヘッドハンティングされソニー生命に入社。社内表彰やMDRTに連続入会、営業職最高位エグゼクティブライフプランナーに認定される。 現在は、金融機関に属さない独立系FP会社:ライフワーク株式会社の代表として、リスクマネジメントコンサルティングを中心に、各種セミナー講師として活躍中。

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