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失敗しない物件選びの基礎知識(4)

新築物件と中古物件、不動産投資はどちらで始めるべきか

枦山 剛枦山 剛

2016/02/24

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中古物件への投資は安全性が高い!?

中古物件の最大のメリットは、新築物件と違い、物件価格自体が安く設定されていることです。物件価格が安いということは利回りが高くなるので、収支効率がよく儲けにつながります。

また、すでに入居者がいる状態で譲渡されることが多いことから、賃料設定のミスマッチが少なく、退室者が出てもすぐに新しい入居者が見つかる可能性が高くなります。そして、購入時に相場より安く買えた場合にはキャピタルゲインも期待できます。

中古物件はすでに「運営中」なので、新たに検討すべきことが少なくなります。物件自体を確認してから購入判断ができますし、たとえ運営上の課題や構造上の瑕疵があったとしても顕在化している状態なので、それらも大きな判断材料として利用できます。

また、資産として見た場合においては土地の価値の硬直性に注目すると、中古マンション・アパートの一棟買いや中古一戸建てはキャピタルロスが少なくすむ(建物の価値が下がっても土地の価値はさほど変わらないため、大きな売却損が出にくい)ので、安全性の高い投資ともいえます。

中古物件のデメリットは?

このようにデメリットが多いと思われがちの中古物件ですが、多くのメリットがあることがおわかりいただけたでしょう。とはいえ、当然メリットだけではなりません。中古物件のデメリットについても整理しておきましょう。

まずいちばんのデメリットとなるのが、融資面です。法定耐用年数の残存期間が減ってきていることから、長期の融資が受けにくくなります。そのため、耐用年数の残存期間の割に残存価格が高い物件は毎月の返済額は高くなるのでキャッシュフローは悪くなる傾向があります。

また、同じエリアで似たような間取りの新築物件があれば、賃料を低く設定しないと入居者がつかなくなる可能性もありますし、老朽化が進むのは避けられないため、大規模修繕のコストもかかってきます。

築年数が経っているほど融資期間が短く修繕費用が膨らむ…。これが中古物件のデメリットです。

新築物件と中古物件、どちらにするべきか

ここまで、新築物件と中古物件のメリット・デメリットを紹介してきましたが、投資家にとってはどちらの物件を選べばいいのでしょうか?

実は、こればかりは投資者の資産状況が大きく影響してきます。資産が豊富であれば、新築物件のように利回りが小さくとも空室リスクが少ない物件を多数保有し、融資面での優遇を受けながら投資先を拡大していくという方法がとれます。

逆に資産が少なければ、安く購入できて利回りが高い中古物件からスタートし、時間をかけながら投資額を大きくしていくことになります。

中古物件の購入で大切なのは、融資期間の融通がきく金融機関とのパイプをつくり、大規模修繕などキャッシュフローが大きく減少するタイミングに備えておくことです。この点をクリアすれば、利回りが大きいのでキャッシュフローが安定化してきます。

このように、新築物件・中古物件にはいいところも悪いところもあります。そのため、不動産投資を始めるときには、投資したいと思った物件についてしっかりとした収支のシミュレーションをしておくことが重要です。
 
 このシミュレーションで、その物件に投資することがプラスになるのかどうかを判断できますので、自分の資産状況と照らし合わせた計画をしっかりつくりこんで不動産投資に臨みましょう。

 

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この記事を書いた人

中学卒業後に大工、建設業、鉄工業などを経て、97年、若干23歳の時に鉄工業で創業する。大手ゼネコン5次下請けからスタートし、最終的には総合建設業者として大手ゼネコン5社の内2社、準大手ゼネコン5社、財閥系商社、建材メーカー、設計事務所、他数百を超える顧客と直取引するまでになり職人100人前後を抱える。同じころ飲食店、建設業専門経営コンサルタント業などを行なう関連会社3社も経営し、事業の多角化を行なう。 その間、約24年で多くの大型開発工事、投資用マンションとアパート建築、高層ビル建設、公共施設工事、メーカーの建材開発に携わり新施工法や新製品の商品化に貢献し徹底した品質管理と原価構造を学ぶ。しかし、拡大路線が裏目に出て廃業に至る。これを契機に経営者としての人生を徹底的に見つめ直し、顧客と社員と自身の相互利益を探求し学ぶ。 その後、不動産コンサルティングの業務に魅了され転身。 業界の活性化や顧客満足度の向上を阻む建設業界や不動産業界の古い慣習と収益構造に疑問を持ち、既成概念にとらわれない顧客サービスを模索し経営方針を固める。 現在、「経済活動を通し社会の不満、不便、不安を解消する」を経営方針に掲げ、顧客と企業の相互利益がかなうビジネスモデルを手掛け、建設と不動産に関わるすべての業界に変革を呼びかける。 (保有資格) 不動産系 1. 宅地建物取引士 2. 管理業務主任者 不動産コンサル系 1. 不動産コンサルティングマスター (合格後未登録) 2. 住宅建築コーディネーター 3.賃貸不動産経営管理士 4. 既存住宅アドバイザー 建築系 1. 一級建築施工管理技士 2. 監理技術者資格者証 3. 監理技術者講習修了証 4. 建築物石綿含有建材調査者 5. 特殊建築物調査資格者 6 マンション健康診断技術者 7. ブロック塀診断士 8. 建築仕上診断技術者 金融系 1. 貸金業取扱主任者 2. 住宅ローンアドバイザー ほか、損害保険募集人資格4種保有 その他 1. 相続診断士 2. 上級個人情報保護士 ほか、労働安全衛生法による資格16種保有

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