ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

住宅購入の際は諸経費の用意を忘れずに

物件価格以外に住宅購入にかかる費用は?

秋津智幸秋津智幸

2016/01/04

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

「諸経費」の計算を忘れずに

 住宅購入前にチェックしておきたいのは、「諸経費」です。住宅購入の際にかかる費用は物件の金額だけではありません。ローンを組む際にかかる金融機関の手数料や、登記の際にかかる税金や司法書士の報酬、そのほか火災保険や中古なら仲介手数料などさまざまな諸経費が発生します。

 ひとつひとつの金額は物件価格やローンの借り入れ金額によって変わりますが、すべて合わせると数百万円にもなるため、これを無視して話を進めるわけにはいきません。諸経費の目安としては、物件価格の5~8パーセントです。

 金融機関によっては諸費用を支払うための専用ローンもありますが、住宅ローンに比べ利率が高く、住宅ローンに上乗せして借りることになるため、負担が重くなります。諸経費については、できるだけ手持ちの資金で支払ったほうがいいでしょう。そのためには、あらかじめ諸経費の支払いのための自己資金を用意しておく必要があります。

諸経費にはどんなものがあるのか

 それでは、どんな諸経費があるのかを見ていきましょう。

 まず不動産購入取得には、印紙税、仲介手数料、登録免許税、司法書士報酬、不動産取得税、中古マンションなら管理費や、修繕積立金の資産金もなどがかかります。また、ローンを使う場合には、印紙税、金融機関の事務手数料、ローン保証料、団体信用生命保険特約料、火災保険料などが必要になります。

 印紙税は土地や建物の売買契約書や住宅ローンを借りる際に金融機関と締結する金銭消費貸借契約書を発行する際にかかる税金です。契約する金額に応じて金額が変わります。

 仲介手数料は、中古物件を、仲介会社を通して物件を購入する場合に仲介会社に支払う手数料になります。最近は仲介会社によって手数料が異なる場合がありますが、物件価格の3.24%+6万4800円が上限となっています。

 登録免許税は、所有権移転登記や建物保存登記などの権利設定、住宅ローンにかかわる抵当権設定登記をする際にかかり、固定資産税評価額や借入額などから計算されます。

 司法書士報酬は、各種設定登記を司法書士に依頼したときにかかります。自力で登記することもできますが、煩雑でむずかしいので、通常は司法書士に依頼することになり、必ずかかる費用と考えていいでしょう。

 不動産取得税は不動産を取得した際にかかる税金です。後日請求が来るので、不動産が所在する都道府県に納めることになります。

 ローン契約時には、ローンが返済不可能になった場合に備え、保証会社に保証を依頼するためにローン保証料がかかります。一部支払いか金利上乗せかを選ぶことができます。ただし、保証会社を利用しても、保証会社が一時的に支払いを肩代わりするだけで、銀行に代わって保証会社が支払いを求めてきますので、勘違いしないようにしてください。

 また、火災保険の加入も住宅ローンを利用する場合は、ほぼ必須です。最近では、地震による被害も心配されるので、地震保険に加入することも検討したほうがいいでしょう。

 ローン返済時に死亡したり、高度障害になった場合に備え、団体信用生命保険に加入するのもほぼ必須です。加入しておけば、いざというときに団体信用生命保険の保険金によってローンの残債が支払われ、住宅を手放さずにすみますので、加入が任意の場合でも万一に備え加入しておくことをおすすめします。

 これらの諸経費すべて合わせると、意外と大きな負担になるので、資金を用意していないと、購入できないことになったり、諸経費をローンで賄うことで、購入後の負担が大きくなり生活に影響を与えてしまう可能性があります。

あらかじめ諸経費分の資金は用意しておく

 諸経費分の資金を用意するのが厳しい場合は、火災保険料や団体信用保険が金利に上乗せされている住宅ローンを利用するのもひとつの手ですが、返済額が高くなることもあるので、あらかじめ諸経費分は貯めておくことが重要です。

 仲介手数料や融資事務手数料などは不動産会社や金融機関で確認できるのであらかじめかかる費用を計算しておきましょう。また、物件見積書やローン提案書には諸費用概算が記載されているのでそちらを参考にするのもよいでしょう。

 なお、司法書士の報酬は、自由化されており、最終的な段階にならないと判明しませんし、最近は金融機関が司法書士を指定しているケースが多いため、この部分は少し余裕を見ておく必要があります。

 それでも、概ね物件価格の5~8パーセント相当の諸経費を見ておけば大丈夫ですが、物件価格に対してローンの割合が大きくなればなるほど、新築より中古物件のほうが諸経費が大きくなります。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント

公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、AFP、ファイナンシャルプランニング技能士2級。 神奈川県住宅供給公社にて、分譲マンション、一戸建・宅地分譲、高齢者住宅等の新規不動産販売部門に従事した後、同社賃貸部門にて賃貸物件の募集、管理業務に従事する。その後、不動産投資専門の仲介会社を経て、不動産コンサルタントとして独立。 現在は「不動産サポートオフィス」の代表コンサルタントとして、自宅の購入、不動産投資、住み替え、融資など多岐にわたる不動産に関する相談・コンサルティングを行なう。その他、不動産業者向けの研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。 主な著書に、「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)、「失敗ゼロにする不動産投資でお金を増やす!」「賃貸生活A to Z」(アスペクト)がある。

ページのトップへ

ウチコミ!