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いまさら聞けない不動産投資の基本(5/18)

知っておくべき不動産投資の失敗パターン

浅井佐知子浅井佐知子

2016/02/23

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最悪の場合は自己破産も

毎月の持ち出しとは、常に空室が続き、予定していた賃貸収入を得られない状態です。不動産投資をしている限り、入居者の入居・退去は必ず発生しますし、それが何組か同時に発生することは不思議でも何でもありません。そのための「単月の持ち出し」はある程度覚悟して投資を行なうべきですが、恒常的な持ち出しは話が別です。

その持ち出し額が本業の給与内で収まればいいですが、生活を圧迫するレベルになると危険信号です。具体的には、「常に空室が出てしまう」という読みが外れたケースと、「新築物件をサブリースつきフルローンで購入」などそもそも利益を生みづらい物件に手を出してしまったケースなどがあります。

不動産を保有するということは、家賃収入から税金や融資の返済、定期的な修繕費用を差し引いたものが利益になります。このような支出は固定性が強いですが、家賃収入は流動性が高いので潜在的リスクを持っているといえます。

そして、融資を利用している場合、返済が追いついていないとなると、金融機関は抵当権を実行し、不動産を売却して資金の回収を行ないます。この不動産の売却がすんだからといって終わりではなく、残債務があれば引き続き返済していかなければなりません。それでも返済できない場合、最悪は自己破産ということになってしまいます。

買った価格よりも安い価格でしか売れないという失敗

土地の価格は大きく変化しませんが、建物は確実に古くなるものなので時間の経過とともにその価値は下落する傾向にあります。価値が下がるということは、家賃も下げなければ入居者が決まりづらくなってきます。特に投資用の不動産は、収益性から逆算しての利回りに重点を置くので、家賃の下落は売却時に大きな影響を与えます。

この傾向は、特に地方の新築木造アパートに顕著に表れます。新築は、「新築プレミアム」と呼ばれる上乗せ賃料が普通ですので、入退去が1~2回あった後は地域の相場価格まで下落してしまいます。しかも、日本における木造建築の減価スピードは非常に速いため、売却金額よりもローン残高が上回る、つまり物件を売却してもローンが残ってしまうことは少なくありません。

失敗のリスクを抑えるために

それでは、このような失敗をしないためにはどうすればいいのでしょうか?

それは、「入口を間違わないこと」です。つまり、市場の相場よりも物件を安く購入できれば、保有期間中のキャッシュフローの積み立て、売却時の損益を総合してプラスになる可能性が高くなります。

マーケットを読むことはむずかしいと思うかもしれませんが、日本全体を俯瞰で見てみると、土地価格の極端な上昇・下落はない状態が続いています。購入時と売却時の相場の差がそれほどないのであれば、相場よりも安く購入することで投資効率の良い物件となるのです。

とはいえ、土地の価格推移が少ないとはいえ建物は確実に劣化しますので、その部分は割引いて予測しなければいけません。それでも、株やFXよりは緩やかな相場推移ではあります。

入居者が見込める場所の物件を、相場より安い価格で購入する。そして、ムダな借り入れはしない。これらのことを心掛ければ、失敗のリスクは抑えられると思います。

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この記事を書いた人

不動産鑑定士

大学卒業後、不動産会社で10年間営業を経験。その後、不動産鑑定士として活躍。 「不動産鑑定士の資格を持った不動産投資コンサルタント」としても豊富な実績を持ち、アパートの賃貸から、土地の有効利用、店舗、事務所の賃貸、不動産売買、不動産鑑定、不動産投資コンサルと合わせて計5000件以上の案件をこなす。きめ細やかなサービスで不動産投資家からの支持を得ており、その最後の集大成として、個人の投資家が絶対に失敗しない、幸せな投資家になれる啓蒙活動を行っている。著書に『世界一やさしい不動産投資の教科書 一年生』、2021年1月出版の新刊『世界一楽しい 不動産投資の授業』がある。

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