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後悔しない新築マンションの選び方(5/6)

マンションライフを大きく左右することも! 管理規約をチェックする10のポイント

秋津智幸秋津智幸

2016/02/04

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できれば購入前に内容を確認する

 マンションのルールである「管理規約」は、できれば購入する前によく内容を確認する必要があります。

 管理規約の案は分譲元の不動産会社と建物管理会社によって作成され、書面によって購入者(区分所有者)全員から承認されることで成立し、正式に拘束力を持つようになります。

 管理規約には、マンションの共用部はどこまでか、その共用部の維持管理、使用方法等マンションに関するさまざまな約束が決められています。そのため、マンションライフに大きな影響を与えるといっても過言ではありません。あらかじめ、管理規約を確認することで、入居後生活するうえで自分にとっては不都合なところがないかをチェックしましょう。

 たとえば、ペット飼育について小型犬までしか飼えないマンションで、もし、自分が大型犬を飼っているなら、そのマンションは購入の対象から外す必要があるかもしれません。

実際の運用に適さない部分も

 分譲元の不動産会社と建物管理会社の間で作成される管理規約の案は、国土交通省が提示している「マンション標準管理規約」を基礎として、これまで分譲したマンションなどのひな型を参考に対象となるマンションの仕様や設備に合わせて修正しています。

 が、新築マンションでは、あくまでこれまでの経験や想定からつくられた管理規約なため、後々、実際の運用に適さない部分が出てくることもあります。

 マンション販売の担当者に確認すると「管理規約は後から話し合って変えられる」といった趣旨の回答をされる場合もありますが、実際に管理規約を変更するには、管理組合の総会で(議決権総数の)4分の3以上の賛成が必要になるため、そう簡単に変更することができません。やはり、本来は最初からしっかりとした管理規約であることが大切です。

 購入前には、特に禁止事項や管理組合の許可が必要な事項、金銭的に負担となるような事項などがないかを確認し、よくわからない事項に関してはマンションの販売担当者などに確認を取った方がよいでしょう。

 また、国土交通省では管理規約の標準モデルとして「マンション標準管理規約」が公表されています。標準管理規約には3パターンあり、単棟型(住居専用のマンションが1棟のみ)、団地型(敷地内に住居専用のマンションが複数棟あるもの)、複合用途型(低層階に店舗等があり、上層階が住宅といったもの)用のものがあります。購入を検討しているマンションのタイプにあった標準管理規約と内容を比較してみるといいでしょう。

管理規約のチェックポイント

 標準的なマンションで最低限確認すべきポイントを見ていきましょう。

(1)共用部分と専有部分の区別がはっきりしているか
 特に、対象マンション独自に共用部とされているところはないか。この区別がはっきりしていない場合は、生活するうえでトラブルが発生しやすくなります。

(2)専有部分のリフォームをするときに届け出などについての規定があるか
どの程度のリフォームの時にどういった届出が必要かなど。今は必要なくても将来必ずお世話になる項目なので、見ておきましょう。

(3)管理費や修繕積立費などの算出方法と金額についての規定
管理費等の算出根拠は見ていたほうが支払いに納得できると思います。

(4)管理費や修繕積立費についての用途についての規定
これも確認しておくと、お金の支払いに納得できると思われます。

(5)管理組合の業務についての規定
 管理組合の業務について理解しておくと、将来自分が管理組合の役員を引き受けた際の不安が和らぎます。

(6)管理組合の役員の選出方法とその業務についての規定
 管理組合の役員の選出方法について、当初記載がないケースもあります。立候補者が常にいれば問題ないのですが、一般的には部屋番号に何らかの法則によって輪番制で役員を決めることが多いようです。したがって、そういった選出方法を確認しておくことも重要です。

(7)管理組合の総会の開催、召集の手続き、出席資格、成立要件、議決権についての規定
 総会を円滑に進めるために必要な規定です。

(8)総会において普通決議と特別決議が適用される範囲の規定
 こちらも総会を円滑に進めるために必要な規定です。

(9)管理規約上の禁止事項
これは実際の生活面では非常に重要な事項になるので、必ず確認しておきたい項目です。

(10)管理規約に付属する各種使用細則
 駐車場や駐輪場、宅配ボックスといったマンションの共用施設の使用について細かくその運用方法などが具体的に記載されたものです。マンションでの生活に密着した内容なので、最低、一度は目を通しておきましょう。


 以上の10点をチェックしましょう。マンション販売担当者などに聞いて確認すべき点は確認しておいたほうがよいでしょう。

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この記事を書いた人

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント

公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、AFP、ファイナンシャルプランニング技能士2級。 神奈川県住宅供給公社にて、分譲マンション、一戸建・宅地分譲、高齢者住宅等の新規不動産販売部門に従事した後、同社賃貸部門にて賃貸物件の募集、管理業務に従事する。その後、不動産投資専門の仲介会社を経て、不動産コンサルタントとして独立。 現在は「不動産サポートオフィス」の代表コンサルタントとして、自宅の購入、不動産投資、住み替え、融資など多岐にわたる不動産に関する相談・コンサルティングを行なう。その他、不動産業者向けの研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。 主な著書に、「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)、「失敗ゼロにする不動産投資でお金を増やす!」「賃貸生活A to Z」(アスペクト)がある。

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