連載・トピックス / 不動産投資

出揃った今年の「公示地価」「路線価」「基準地価」

オーナーさんへ耳寄りな情報も!

2019/11/12 住まいの大学

文/住まいの大学編集部

画像/123RF

9月19日(2019年)に、国土交通省が基準地価を発表しています。これで今年の公示地価、路線価、基準地価、3つの大きな公的地価調査の結果が出揃いました。それぞれの違いを簡単に掲げておきます。


公示地価
 調査:国土交通省
 発表時期:毎年3月下旬
 評価時期:毎年1月1日時点
 調査地点:土地鑑定委員会が定める標準地(1㎡あたりの価格を公表)
調査地点数:26,000(2019年)
 決定方法:
1地点につき2人以上の不動産鑑定士が鑑定し、土地鑑定委員会が審査
 主な用途:
一般の土地取引、公共事業用地の取得価格の算定など


路線価
 調査:国税庁
 発表時期:毎年7月1日
 評価時期:毎年1月1日時点
 調査地点:主要道路に面する土地(1㎡あたりの価格を公表)
調査地点数:約32万9千(2019年)
 決定方法:
  公示地価、売買実例、不動産鑑定士等による鑑定などをもとに決定
主な用途:
相続税や贈与税の算定、銀行融資の際の担保となる土地の評価など


基準地価
 調査:都道府県
 発表時期:毎年9月下旬
 評価時期:毎年7月1日時点
 調査地点:各都道府県が定める基準地(1㎡あたりの価格を公表)
調査地点数:21,540(2019年)
 決定方法:
1地点につき1名以上の不動産鑑定士が鑑定し、都道府県が審査
主な用途:
  一般の土地取引、国土利用計画法に基づく土地買収価格の算定など


ご覧のとおり、公示地価、路線価が示すのは1月1日時点の評価です。対して基準地価は7月1日です。評価方法がよく似た公示地価と基準地価には、互いに半年のズレがあるわけです。一方、路線価においては、圧倒的な調査地点の数がその特徴です。


従って、それぞれにポジションを持つ以上3つが、連動しながら推移させていく数字を見ることによって、日本の地価、ひいては国や地方の経済状況を把握していくことが可能です。


では、これら3つの公的地価調査の今年(2019年)の結果について、新聞報道などからも拾えるトピックをざっと書き出してみましょう。


公示地価(3月19日発表)
・商業、工業、住宅の全用途で全国1.2%のプラス。上昇は4年連続
・商業地は2.8%のプラス。前年の1.9%より上げ幅拡大
・地方圏の住宅地が27年ぶりにプラスとなる


路線価(7月1日発表)
・標準宅地が全国で1.3%のプラス。4年連続の上昇
・上記上昇率もこの4年で最高の数字
・トップは銀座5丁目「鳩居堂」前。3年連続で過去最高を更新


基準地価(9月19日発表)
・全国全用途で0.4%の上昇。プラスとなるのは2年連続
・地方圏の商業地も0.3%のプラス。上昇は1991年以来28年ぶり
・札幌、仙台、広島、福岡の中核4市の商業地は10.3%の大幅上昇


以上、バブルの時代を思い起こさせるかのような、上昇、上昇、上昇の文字が躍る様子となっていますが、当時と大きく違っているのは、これらのほとんどを「実需」が後押ししている点でしょう。


投機ではありません。本物の需要、実需です。こうした実需が集まる圧倒的な2つの場所といえば、これらになります。


・交通利便性の高い土地
・大きな消費需要が見込まれる土地


そこで、前者について主なものを挙げるとすれば、


住宅地 …大都市中心への通勤に便利な駅の周辺
商業地 …オフィス需要が集中し開発も進むターミナル駅周辺
工業地 …物流施設の立地に有利な高速インターチェンジ周辺


後者については、


・国内外からの訪問客が集中する観光地や、それに伴いホテル需要、店舗需要などが集まる場所
・オフィス開発等により働く人が数多く集まると同時に、それらが生む消費も伸びている街


と、いったかたちになりそうです。


すなわち、逆にいえば、こうした実需が乏しい場所においては、地価は当然ですが上がってこないわけです。今回の基準地価でも、勢いのよい数字がいくつも並ぶ反面、調査地点のうち約48%では、依然下落が続いています。


加えて、忘れてはいけないこと。それは、上記の実需をさらに下支えしているものの存在です。それは、土地の買いやすさの源泉である「超低金利」と、国外からの「訪日客」です。注意しておかなければならないのは、これらが、それぞれ大きな変動要素を持つものであることです。


とくに訪日客需要については、今後のさらなる拡大が期待できるとともに、何かの条件をきっかけにいきなり極端な縮小が起こる可能性もあります。このことは決して忘れるべきではないでしょう。


最後に、賃貸オーナーさんへ向けたお役立ち情報です。上記「公示地価」に絡んでの、面白いツールが最近出来たのです。(正しくは情報開示が始まったのです)


それは、こちらにあります。「国土交通省 標準地・基準地検索システム」です。


上記はWeb上のツールです。全国各地点の公示地価と基準地価を調べることができるのですが、公示地価を決める際に作成された不動産鑑定士による鑑定評価書についても、ここで全ページが見られるようになったのです。(2019年地価公示より)


たとえば、ある住宅地についての鑑定士さんのコメント…


「地域要因の将来予測:中規模一般住宅が建ち並ぶ環境の良い住宅地域である。地域は熟成しており ~(中略)~ 当面の間において現状を維持して推移していくものと予測される」


こうしたプロの文章による具体的評価や、当該土地での賃貸経営を想定した賃料収入に関する試算など、貴重な情報が得られます。操作は簡単です。まずはリンク先にて、お好きな場所の「公示地価」を検索してみてください。


「検索結果表示」の画面に「標準地番号」~「利用区分、構造」までの各項目と内容が示されたところで、さらに「詳細を開く↓」を押します。


すると、「鑑定評価書」という項目とともに、「詳細表示」のリンクが出てきます。そちらをクリックです。


(文/朝倉継道 画像/123RF)

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