連載・トピックス / 不動産投資

災害に対しては…

一戸建てよりも、マンションよりも「賃貸」が最強?

2019/10/31 住まいの大学

文/住まいの大学編集部

画像/123RF

自宅を購入した際に「防災」を意識した割合は、一戸建て購入者に比べ、マンション購入者の方がやや多い…。そんな調査結果を不動産ポータルサイト「SUUMO」でお馴染みの株式会社リクルート住まいカンパニーが公表しています。


調査対象は、


・現在の住まいが東京都、大阪府、愛知県、北海道、宮城県など、全国12都道府県にある方で
・持ち家として、マンションか一戸建てに暮らしていらっしゃる方
・20~69歳の男女
・有効回答数 2,400人


と、なっています。


これらの皆さんに、「現在の自宅を購入される際に防災を意識しましたか?」と、尋ねたところ、マンションにお住まいの方…


意識した …16.3%
少し意識した …30.6%
どちらでもない …17.2%
あまり意識していない …24.3%
意識していない …11.6%


一戸建てにお住まいの方…


意識した …9.9%
少し意識した …24.6%
どちらでもない …22.4%
あまり意識していない …23.5%
意識していない …19.6%


以上のようなお答えです。そこで「意識した」と「少し意識した」を合わせた割合を抜き出すと…


マンション購入者 …46.9%
一戸建て購入者 …34.5%


ご覧のとおり、マンション購入者の方が12ポイント以上高くなっています。


自然災害のことを考えたとき、「マンションの方が有利」と考える方が、おそらくは一戸建てに比べて多いと見られる結果です。たしかに、マンションの場合、基本として建物が頑丈です。地震には概ね強く、風害にも強く、居住する階さえ選べば、水害も免れやすいでしょう。


ただし、こんな声も挙がっています。一戸建てを購入した方のうち、防災を「意識した」「少し意識した」と答えた方へ、「防災に関して何を意識したか」を尋ねた結果です。


「マンションよりも戸建てを希望した」が、24.7%となっています。「そもそも防災を意識したからこそ、マンションではなく一戸建てを選んだんだ」と、いうことです。


すると、これらの皆さんが一戸建てのどんな防災面に着目されたのか、結果としてどんな家を買われた(建てられた)のかが気になりますが…、今回の調査では、残念ながらそこまでをひもといてはいないようです。


「私の場合、戸建てといっても選ぶのは木造ではない。頑強な鉄筋コンクリート住宅だ」「マンションの4階や5階以上に住んでいて、災害時、エレベーターが停まったときのことを考えると…」それぞれに、色々な想いをお持ちのことでしょう。


さて、以上を見てきたうえで、私たちの「賃貸住宅」もこの議論(?)に割り込ませてみましょう。防災面に関して、住まいとしての賃貸住宅にはどのようなベネフィット(恩恵や利益)が存在するといえるのでしょうか?


最大の答えは、もちろんこれに尽きるでしょう。


1に、賃貸では、たとえ災害に見舞われ建物が破損・損壊しても、住人は資産上(不動産部分)のダメージを受けません。


2に、土地の形質や評価に損害が生じても同様です。たとえ土地価格が下落しても、入居者にはまったく関係がありません。


このメリットは、いまの時代、おそらく意外に大きなものです。


国の人口が増え、付随して土地の値段が上がるという基本的なかたちが失われた以上、災害リスクのみならず、税負担、メンテナンス、その他さまざまな問題を考え合わせた上で、「持ち家は人生の重荷」と考える人は、今後さらに増えていくことでしょう。


そうした、家を持たない生き方を実践しているひとりとして、有名なホリエモンこと堀江貴文さんがいます。


ホリエモンさんの場合、昨年(2018年)までの発言によれば、家を持たないだけでなく、賃貸住宅も飛び越えて、いまはホテルや友人宅を移動して歩く生活をされているそうです。


情報通信技術が発達し、人々の働き方が変化していくにつれ、土地と場所に縛られる持ち家暮らしを便利とは思えない人が、これからはさらに増えてくると思われます。すると彼らは、賃貸住宅市場にとっては明らかに新たなターゲットです。さまざまな工夫を凝らしながら、しっかりとこれを捉えていくべきでしょう。


一方、災害と賃貸住宅といえば、われわれはきわめて重要な問題をひとつかかえています。それは、地震の揺れに対して脆弱な古い建物が、いまだかなりの数で市場に残っているということです。


具体的には「旧耐震」を指します。


地震に対する危険性が明確に指摘されている、1981年5月以前の基準によって建てられたアパートやマンションが、大勢の入居者を呑み込んだまま、いまもあちらこちらに建っています。


これらに住んでいる人の場合、災害による資産へのダメージは想定されなくとも、生命の危険にはつねに晒されています。そのうえで、彼らは家賃も払わされているわけです。これはそもそもありうる話でしょうか?


世界のトップをいく先進国における住宅環境として見たときにどうか?と、いうレベルでの問いかけです。たとえば今日、明日にでも、東京などを大きな地震が襲い、そうした物件の多くが倒壊し、入居者さんを圧死させたとします。あるいは、火災も発生し、倒れたアパートの中に閉じ込められた入居者さんが焼け死んだとします。


同様のことは、阪神・淡路大震災でも、熊本地震でも起きていますが、旧耐震基準が遠い過去の基準となるにつれ、それによって建てられた建物を放っておいたオーナーさんの責任は、今後ますます重くなるはずです。


よしんば、裁判沙汰にはならなかったとして、入居者さんを死なせたオーナーさんの後悔たるやいかばかりでしょうか。


旧耐震基準が文字どおり「旧」になってから、あと2年で40年となります。賃貸住宅業界が、現在世の中に与えている最大のリスクの排除・一掃について、われわれにはいよいよリミットが迫っている、と考えなければなりません。


(文/朝倉継道 参照元/株式会社リクルート住まいカンパニープレスリリース 画像/123RF)



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