連載・トピックス / 不動産投資

モンスター入居者が現れた!

対応のコツは、モンスターと決めつけないこと?

2019/11/29 住まいの大学

文/住まいの大学編集部

画像/123RF

モンスター入居者と呼ばれるタイプの入居者さんがいます。いわゆる過剰なクレーマーです。通常であれば苦情にならない程度のことに過敏に反応したり、不安にかられて突飛な行動をとったりします。


その矛先は、

・建物や設備へのクレームとしてオーナーや管理会社へ
・生活マナー等への苦情として同じ物件の住人へ、またはご近所へ

しつこく向けられます。


モンスター入居者が発生してしまうと、自主管理オーナーさんは特に大変です。


「あれが壊れた」「あそこが汚い」「早くなんとかしろ」
「上の部屋がうるさい」「今度は下の部屋だ」「訴えるぞ」
「〇号室の住人はおかしい。犯罪者ではないか」


対応を管理会社に任せることができないため、ひとりでの対処を迫られます。


もちろん、その場合、仲介会社が協力してくれることも多いはずです。ですが、それは契約にはないボランティアです。どこまで親身になってくれるか、頼ってよいのかは、まさに相手次第です。


一方で、自主管理オーナーさんならではのアプローチで、モンスター入居者対応をうまくこなす方もいます。大事なコツは、相手の話をしっかりと聞くことです。なぜなら、常識外のクレームを繰り返す人や、珍妙な理由で苦情を訴えてくる人の多くは、実は、誰かに話を聞いてほしいだけの人であることが少なくないのです。


そこで、膝を交え、話をじっくりと聞き、「おっしゃる内容はしっかり受け止めましたよ」という態度を明確に伝えることで、先方の怒りや不安が即座に収まってしまうといったこともよく起こります。クレームの目的とするところが解消されていないのに、なぜかそうなるケースも少なくありません。


こんな例があります。「アパートに幽霊が出る」というのです。


ある日、入居者さんからオーナーさんへ、「出るんだ。なんとかしてくれ」との苦情があったそうです。夜中のある時刻になると、得体の知れない何かの気配が外からしてくるのだそうです。


入居者さんは一人暮らしです。高齢の方でした。電話の声を聞きながら、オーナーさんは何となく状況が掴めたそうです。


そこでオーナーさん、早速アパートを訪れ、まずは入居者さんから幽霊出現の状況を細かくじっくりと聞いたのだそうです。そのうえで、「たしかにそれは本物かもしれません」と、一旦入居者さんの主張を認めてあげたそうです。


そして、こんな提案をされたそうです。「幽霊も怖いけれど、不審者だったらもっと怖い。私も困る。対策をさせてください」。その現場に、人感センサー付きのライトを取り付けたそうです。「幽霊には反応しないかもしれませんが、人が通れば反応します。様子を見ましょう」。


すると、なぜかそれ以降、幽霊は出なくなりました。寂しい一人暮らしから来る心の変調からか、幻を見て騒ぐモンスターになりかけていたこの入居者さん、オーナーの上手な対応によって、その後は時々オーナーに日常報告などしながら、静かに普通の暮らしを続けているそうです。


管理会社のクレーム担当の中には、モンスター入居者からの度重なる苦情に苦しめられ、ついには体を壊してしまう人もいるようです。実は、管理会社の場合、入居者さんからのクレームというのは、時にオーナーに比べてプレッシャーが倍になります。なぜなのでしょうか?


それは、

・会社の大事なお客様であるオーナーさん
・そのオーナーさんの大事なお客様である入居者さん


と、いう重いロジックが、管理会社の立場においては働くことがあるからです。仕事のいい加減な会社の場合こうはなりませんが、真面目な会社の真面目な担当者ほど、この論理に押し潰されやすいのです。


なので、そうした担当者は、モンスター入居者の理不尽なクレームにも逐一言葉どおりに対応してしまいます。「こっちは管理費を払っているんだ」「いますぐ来い!」「毎日来い!」にまともに応え、ムリを重ねます。


そうしないで相手を怒らせ、退去されることで、オーナーさんに損害を与えることを彼らは一番に恐れているというわけです。そこでいえば、オーナーはちょっと立場がちがいます。もう少し余裕を持った対応が可能です。


モンスター入居者の要求は最終的には受け容れることができなくとも、話はいくらでも聞きますよ、ぜひ聞かせてください、といったスタンスで相手に臨みやすいのです。さらには、そのスタンスこそが、実はモンスター入居者といわれる入居者さんが本当に求めているものである可能性が高いことについては、さきほどふれたとおりです。


自主管理を長く続けられ、成功させているあるオーナーさんによれば、モンスター入居者対応第一の戒めは、「相手をモンスター入居者だと思わない」ことだそうです。モンスターとまではいかなくとも、いわゆる細かい人、うるさい人も同様です。


「この人はモンスターだ」「うるさい人だ」と、見方を固めた途端に、相手の言うことはすべて不快で面倒に聞こえます。ですが、大事なのはそこではありません。内容です。誰が言っているのかではなく、何が要求されたり、報告されたりしているのかに、視点を置くことが重要です。


もちろん中には、残念ながら社会への適応性を全く持たない本物のモンスターも存在します。しかしながら、多くの小さなモンスターの方々にあっては、


・聞く耳をしっかり持って話をきいてあげる
・ただし叶えてあげられることとそうでないことの境目については毅然として伝える


そのことで、かえってオーナーへの信用を抱いてもらえ、以降は話がスムースに進むケースも多いようです。


(文/朝倉継道 画像/123RF)



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