連載・トピックス / 不動産投資

オーナーさん、なぜそんなものを部屋に置くの?

入居希望者が逃げ出します!

2019/11/16 住まいの大学

文/住まいの大学編集部

画像/123RF

「あの虫」なんか怖くない! ある仲介会社のスタッフから聞いたお話です。募集が始まってしばらく経った物件に、内見のため、入居希望者をお連れしたときのことです。部屋の中で、いきなり入居希望者さんが、キャーッ!と声を上げたそうです。


「虫が!」


見ると、床の隅に大きな死骸が転がっています。多くの人が忌み嫌う、テカテカと黒光りするあの虫です。さらに、キッチンを見ると…、あります。誘引式の殺虫エサが置かれています。黒光りする虫は、どうやらこのエサを食べたのち、部屋を這いずり回りながら命を終えたようです。


入居希望者さん曰く、


「ここはもう見なくていいです! 次の物件へ連れていってください」


震えながら、そう訴えたそうです。エサを置いた張本人は、オーナーさんでした。害虫を少しでも退治しようと、次に住む人のためによかれと思い、置いたものでした。ただし、この一件、入居希望者の側にとってはありがたい事件です。


なぜなら、殺虫エサと、それを食べて実際に昇天した虫の姿を目の当たりにしたことで、「この部屋は出る!」という貴重な情報を手に入れられたことになるからです。一方、仲介会社はがっかりです。


「せっかく貴重な内見者を勝ち得たのに、オーナーさん、何てモノを置いてくれるんだろう。虫が心配だったら、相談してくれれば駆除作業を手配するのに…」


似たハプニングは、ご高齢のオーナーさんがよく起こされます。「あの虫なんか子どもの頃など家の中にいくらでもいた。見慣れたもんだ」で、若者のように怖がらない方も多いのです。

ある物件では、共用廊下に、やはり同じ虫が潰されて転がっていました。内見者はびっくりです。ところが、この死骸、実はオーナーさんが放置したものだったのです。


「朝に見かけたから踏み潰しておいたの。息子が明日来るから掃除をすると思うけど」


ご高齢の女性オーナーさん、放っておいて何がいけないの?といった表情でそうおっしゃったそうです。


ちなみにこの物件、この女性が自主管理されています。以前のオーナーは旦那さんだったのですが、建物の掃除や管理にとてもマメだった旦那さん、少し以前に亡くなってしまったのです。あとを引き継いだ奥様、残念ながら賃貸経営に熱心ではありません。


ゴミ置き場の掃除がさっぱりされなくなったことで、最近は「あの虫」がやたらと物件内に見られるようになっているとのことでした。以上の件、いわゆるジェネレーションギャップも絡んだ、要注意の事例です。


入居までに片付ければいいんだろう?


次は、こんなびっくりのお話です。仲介会社のスタッフが、入居希望者を内見にお連れしたところ、ドアを開けて、「あれ!?」部屋の中には、なぜか、たくさんの家具、家財道具が雑然と積まれているのです。


「まさか、部屋間違い? この鍵、マスターキー?」


そうではありませんでした。オーナー曰く、


「ウチの店の従業員の引越し荷物を一時仮置きさせてやってるんだけど、ダメなの?部屋を見るのに支障なんかないだろ?」


これには仲介会社のスタッフも、唖然としてため息をつくしかありませんでした。なにしろ、部屋の中の様子といえば、まるで住人が夜逃げしたあとのようです。時々ここで着替えでもするのか、衣服も散乱し放題。しかも、スポーツウェアなど、何やら悪臭も放っています。


「内見に来る人をバカにしている。こんな大家と付き合うのはご免だ!」


そう思わない人はよほどのお人好しでしょう。ちなみにこのオーナーさん、ご商売をされています。ところが、内見に来られる方=お店に来られるお客様と同様にお客様なんだ、という発想をなぜかされないのです。


商店経営の傍ら賃貸経営もしているオーナーさんに意外によく見られるケース、と、おっしゃる方もいます。


枯れ木もマンションの賑わい? 次のオーナーさんは、植木が大好きなオーナーさんです。たくさんの木や花を鉢植えにして育て、ご自宅の庭をところせましと飾っています。だけでなく、その鉢植えをご自身の経営する賃貸マンションにも持ってきて、飾っています。


ところが、大量に並ぶご自宅の鉢植え…さらにマンションの鉢植え…、多すぎて手がまわらないのです。そうなると、必然、手を抜かれるのはマンションに置かれた方の鉢植えです。夏など、水を与えられず枯れてしまった木や花が、みすぼらしく萎れてしまっています。


秋は秋で、草がボウボウです。冬は、乾いた土を風が舞い上げ、マンション1階の外廊下を黄色く染める始末です。もちろん、内見に来られる皆さんの印象も、これではまるで台無しです。


以上、新たな入居者さんの入居を本来心待ちにしているはずのオーナーさんが、ちょっとした認識の相違や、配慮の不足から、残念な結果を生み出している例を3つ挙げてみました。


なお、どの事例でも、怖いのはオーナーさんに悪気がないことです。悪気はないものの、現代の賃貸経営に必要な「入居者さんはお客様である」という観点がスッポリと抜け落ちているのです。


入居者さんからせっかく年賀状をいただいたのに、慌てて返信するどころか、平気で無視するオーナーさんもいます。相手は年に数十万~100万円以上の「売上げ」を提供してくださっているお得意様なのに…!


立場が逆であることはいうまでもありません。


(文/朝倉継道 画像/123RF)



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