連載・トピックス / 不動産投資

30代は約8割が、20代は100%!

旧耐震のマンションは「避ける」と回答!

2019/11/14 住まいの大学

文/住まいの大学編集部

画像/123RF

「30代で81.58%、20代では100%が、旧耐震基準で建てられたマンションは避けると回答」…! そんな調査結果をリニュアル仲介株式会社が公表しています。同社は、中古住宅の流通を主に手がける会社です。不動産情報配信サービス「物件提案ロボ」の提供などを行っています。


なお、上記の回答にあるマンションとは、売買物件のことです。賃貸物件ではありません。


さらに、旧耐震基準とは何か?


旧耐震基準とは、1981年5月まで施行されていた、建物に必要な耐震性を定めた国の基準です。同年6月1日をもって大幅に改正され、以降は古い基準を「旧耐震」、新たな基準を「新耐震」と呼ぶのが一般的です。


この改正よりも前に建築確認を受けたいわゆる旧耐震の建物は、地震の揺れに対してきわめて脆弱です。その危険性は実際に証明され続けています。阪神・淡路大震災や熊本地震等、大きな地震が起こるたびに被害が発生しています。


以上をふまえたうえで、さらに数字をひもといていくと…こうなっています。


質問:
中古マンションを購入すると仮定した場合、立地がよければ、旧耐震基準のマンションでも構いませんか?あるいは、避けますか?


選択肢:
立地が良くても、旧耐震基準のマンションは避ける
立地が良ければ、旧耐震基準のマンションでも構わない


回答:
 20代 避ける 100.00% 構わない 0.00%
30代 避ける 81.58% 構わない 18.42%
40代 避ける 76.67% 構わない 23.33%
50代 避ける 65.96% 構わない 34.04%
60代以上 避ける 81.25% 構わない 18.75%


ご覧のとおり、「避ける」の割合は、若い皆さんとご年配の皆さんで高く、50代が若干下がっているのが目に付きます。なかなか興味深い結果です。考察の余地がさまざまに浮かぶものといえるでしょう。


そこで、繰り返しますが、上記の質問は売買物件を対象にしたものです。回答されたのは、リニュアル仲介さんが提供している「物件提案ロボ」のサービスを利用されている方、501名となっています。


ゆえに、推測すると、さきほども記しましたが、


・住宅には耐震基準がある
・基準には「旧」と「新」がある
・「旧」で建てられた建物は耐震性に劣っている


知識としてそこまではすでにご存知の方が、おそらく多くの割合を占めるでしょう。そのうえで、結局のところ各年代に差こそあれ、全体を均すと76.0%の方が「旧耐震基準のマンションは避ける」と、回答しているのが今回の結果です。


・マンションは自分や家族の命を預けるハコである
・大金と引き換えに購入するものである
・自らの資産でもある


こうした要素を考えると、この数字は当たり前といえば当たり前といってよいものでしょう。


一方、賃貸はどうでしょうか。


賃貸の場合、「築年が古い」という理由から、結果的に旧耐震時代の物件を避けるかたちとなっている方は多いでしょう。ですが、「この物件は旧耐震か新耐震か」といったモノサシで物件選びをされる方は、おそらくほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。


また、さきほどの「『物件提案ロボ』利用者501名」といった立場とも違い、そもそも耐震基準に新旧があることをご存知ない皆さんも多いはずです。加えて、さらに怖いのは、入居者さんだけでなく、オーナーさんも少なからずそうであることです。


大きな地震の際、ご自身の物件が入居者さんの命を危険に晒す可能性が非常に高いことに気づいておられない旧耐震物件のオーナーさんが、市場にはおそらく大勢いらっしゃることでしょう。


そうしたオーナーさんが、抱えている問題に気づかないまま、もしも現実に惨事の起こる日を迎えた場合、人生に大きな後悔を背負い込むことになります。


1970年代、60年代に建てられた木造アパートなどが、東京の住宅地等ではまだかなりの数で生き残り、多くの入居者さんを住まわせながら頑張っています。ですが、これは決して微笑ましいことではないのです。


これらが頑張っていられるのは、たまたまです。東京・関東でいつ起こってもおかしくない、旧耐震物件が耐えられないレベルの地震に、これまで運よく見舞われていないからに過ぎません。


たとえきれいに内外装がリフォームされていても、耐震補強がされていないのであれば、建物は脆弱なままです。倒壊すれば中にいる人は少なからず潰されるか、閉じ込められるかします。そこを火災が襲えば、残骸はたちまち人を焼く薪に早変わりします。


これは、日本の地震では過去より幾度も繰り返されてきた、実に恐ろしい光景です。そのため、数はきわめて少ないのですが、東日本大震災の頃より、賃貸住宅関連の業界内では、


「旧耐震のオーナーさんは、耐震補強をされないのであれば、市場から撤退すべき」


との声が挙がり続けています。


もっとも、この声はほとんど響いていません。なにしろ、「旧耐震物件はお客様を危険に晒すので仲介しない」とした仲介会社が、それを言うたび変わり者と見られ、取引相手を失ってしまうくらいです。


ですが、旧耐震物件は、その造りが地震に弱いだけではありません。まもなく揃って築40年以上の老朽物件ともなるのです。


ちなみに国交省は、2025年には旧耐震の問題をおおむね解消させることを目指しています。(平成28年「住生活基本計画(全国計画)」)賃貸住宅業界および関連業界、さらに関連する個々人は、これに率先して協力し、取り組むべきでしょう。


この賃貸における旧耐震問題、国民の抱えるリスクとして、いずこの国からミサイルが飛んでくることに匹敵すると見ても、ふざけた例えではないはずです。


(文/朝倉継道 参照元/リニュアル仲介株式会社 画像/123RF)

人気記事ランキング

注目の講師

ウチコミ!