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牧野知弘の「どうなる!?  おらが日本」#12 「サラリーマン大家さん」の真髄(1/5ページ)

牧野 知弘牧野 知弘

2019/11/02

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イメージ/123RF

多くの会社に棲息 マイペースおじさん

昔は植木等さんが歌って踊った「いちどやったらやめられない」いい職業がサラリーマンだった。だが、最近はそうでもない。会社同士の合併などあたりまえ、社内の昇格にも試験がある、上司にゴマをするだけではなかなか思うような出世もなく、プレッシャーばかりでさびしい人生を送るサラリーマンがなんと多いことか。

そんな熾烈な出世競争に明け暮れる会社の中で、ひとり、ひたすらマイペースに日々を過ごしているおじさんにお気づきだろうか。

会社には定時にちゃんと出社する。そのかわりあまり残業もせずに5時をすぎると、「みなさん、おつかれさまでした」と挨拶をして、さっさと帰ってしまう。滅多なことでは飲みにもでかけない。
 
当然のことだが、会社内ではあまり出世はしない。でも何か失敗をしでかしているわけでもないので、降格などのお咎めを受けることもない。ましてや馘にもならない。「そこそこ」の会社生活を過ごしているおじさんが実は多くの会社に棲息している。

このような平凡なサラリーマンに見える人の中に、「サラリーマン大家さん」がいる。この種族の人たちは、世間が思うところの「不動産屋」のイメージからは程遠い人たちだ。

まず、人とはあまり深く交わらない。人と接するとお金がかかるからだ。もちろん飲みになど行くとさらにお金がかかるので、会社の行事だけにして、いただける給料でコツコツ不動産を買っているのだ。

買うのはたいてい賃貸マンション。普通のサラリーマンの給与の範囲ならワンルームマンションが一般的だ。

もちろん、最初からワンルームを全額賄うだけの貯金はないので、頭金程度にしてあとはローンを組む。ローンの金利部分は一定限度を所得から控除ができるので、毎年ちゃんと確定申告をして、所得税の還付を受けている。

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この記事を書いた人

株式会社オフィス・牧野、オラガ総研株式会社 代表取締役

1983年東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し経営企画、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT市場に上場。2009年オフィス・牧野設立、2015年オラガ総研設立、代表取締役に就任。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題 ――1000万戸の衝撃』『インバウンドの衝撃』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)、『実家の「空き家問題」をズバリ解決する本』(PHP研究所)、『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)、『マイホーム価値革命』(NHK出版新書)『街間格差』(中公新書ラクレ)等がある。テレビ、新聞等メディアに多数出演。

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