連載・トピックス / 不動産投資

言われていたことが数字に!

若者ほど「実家」に比べ、いまの「賃貸」にがっかり…

2019/11/05 住まいの大学

文/住まいの大学編集部

画像/123RF

ここ数年、よく言われていたことが数字に…! 不動産ポータルサイト「SUUMO」でお馴染みの株式会社リクルート住まいカンパニーが、大変興味深い調査結果を公表しています。「2018年度 賃貸契約者動向調査」(2019年9月24日)の中にある、「[全国]今回契約した賃貸物件と以前住んでいた実家の満足度比較」と、いう項目です。


・あなたがかつて住んでいた「実家(持ち家)」
・いま暮らしている「賃貸」


比べてみて満足度はどうですか?と、尋ねているのです。なお、このことは、ここ10数年ほど賃貸住宅関連の業界ではたびたび話題になっていたことです。入居者さんの層が若くなるほど、物件選びが、いわば「わがまま」になるというのです。


たとえば、


・バス、トイレ一緒の3点ユニットへの強い拒絶
・洗濯機置き場が部屋の外にあるのももってのほか
・壁が薄く、隣室の音が少しでも気になるとなれば、あっという間に退去してしまう
・安い物件はいくらでもあるのに、大学生(親御さん)の払う家賃は年を追うごとに上がる傾向
・たとえ大学に近くとも、築古物件となると学生さんがさっぱり入居してくれない


そんな現象の理由として、業界関係者からは、たびたび若い入居者さんが育ってきた実家環境と賃貸住宅とのギャップが語られてきました。そうした一部が、今回の調査では数字になって表れています。


満足度の対象は3つに分けられています。


「遮音性」
「断熱性/省エネ性」
「耐震性」


です。


われわれ賃貸経営側とすれば、設備環境に関することなど、もう少し細かく突っ込んだ比較がされているとうれしいところなのですが、それは今後に期待しておきましょう。


なお、この調査に回答されているのは、


・現在の居住形態が「賃貸」である
・当該賃貸住宅への入居時期が2018年4月1日~2019年3月31日


と、いった皆さんです。


まず「遮音性」です。


「現在の住居(賃貸)の方が、実家よりも満足できる」
 10代・20代 …25.3%
 30代 …31.6%
 40代以上 …36.5%


「現在の住居(賃貸)よりも、実家の方が満足できていた」
 10代・20代 …52.9%
 30代 …37.5%
 40代以上 …32.0%


ご覧のとおり、10代・20代と30代では、実家への評価が勝っています。特に10代・20代での数字の伸び(52.9%)と、40代以上とのギャップが目立つ結果です。


次に、「断熱性/省エネ性」です。


「現在の住居(賃貸)の方が、実家よりも満足できる」
 10代・20代 …28.8%
 30代 …40.7%
 40代以上 …49.7%


「現在の住居(賃貸)よりも、実家の方が満足できていた」
 10代・20代 …39.8%
 30代 …26.4%  40代以上 …21.9%

ご覧のとおり、10代・20代だけが、実家への評価が高く、現在の住居(賃貸)への評価が低い結果となっています。


続けて「耐震性」です。


「現在の住居(賃貸)の方が、実家よりも満足できる」
 10代・20代 …26.1%
 30代 …36.5%
 40代以上 …47.2%


「現在の住居(賃貸)よりも、実家の方が満足できていた」
 10代・20代 …34.7%
 30代 …19.6%
 40代以上 …18.9%


断熱性/省エネ性と同様、こちらでも10代・20代だけが、実家=高、現在の住居(賃貸)=低 の評価となっています。


以上、どの項目についても、さきほど挙げた、


・10代、20代における「実家の方が満足だった」割合の伸び
・彼らと40代以上とのギャップ


これらが目立つ点に変わりはないという結果です。


「入居者さんの層が若くなるほど物件選びがわがままである」理由の大きな部分が、垣間見られた格好です。ただし、これはもはやわがままといえるものではないでしょう。人間の性として、「経験してきたよりもレベルの下がる環境には耐えられない」というのが、おそらく実態です。そこで、リクルート住まいカンパニーさんは、今回さらに鍵となるデータも集めています。


以上の各満足度について、実家が、


・2000年以前に建築されたものである場合
・2001年以降に建築されたものである場合


両方に分けた数字も示しているのです。


そのうち、「遮音性」での結果はこうなっています。


 遮音性:現在の住居(賃貸)の方が、実家よりも満足できる
  実家が2000年以前に建築 …26.1%
  実家が2001年以降に建築 …7.9%


遮音性:現在の住居(賃貸)よりも、実家の方が満足できていた
  実家が2000年以前に建築 …45.8%
  実家が2001年以降に建築 …74.0%


ご覧のとおり、2001年以降に建てられた実家の満足度においての74%という数字が特に目につきます。なお、同様の傾向は、「断熱性/省エネ性」でも、「耐震性」でもほぼ変わりません。2001年以降に建てられた実家では、満足度が大きく伸びています。


また、その考えられる理由のひとつとして、リクルート住まいカンパニーさんはこのようなナレッジも添えています。


「2000年より住宅性能表示制度がスタート。分譲・注文住宅はこの制度を利用していたが、賃貸物件に関しては利用されなかった」


住宅性能表示制度とは、平成12年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」にもとづく制度です。


住宅における、


・構造耐力
・省エネルギー性
・遮音性


等に関する表示のための共通ルールを設け、住宅の性能比較を容易に可能とするなどの主旨をもって始まったものです。


ですので、上記の設問は、実は「賃貸対分譲等」の単純な比較に留まらず、この制度による日本の住宅への影響をややユニークな角度から探ってみようとしたものであるともいえるでしょう。


何でもかんでも国頼み、法律頼みは考えものです。ですが、こと住宅に関しては、国の政策というものの影響は多大です。


少しでも政策を動かし、日本の賃貸住宅の質を向上させ、人びとの快適・安全・幸福を追求するために、この記事をお読みの賃貸オーナーさんも、ぜひ機会をとらえて声を挙げてください!


(文/朝倉継道 画像/123RF)

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